このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「明日は、当ホームに先日入居された利用者様の初めての一時帰宅で、私が同行する予定となっています。
入居当時はとても帰宅願望が強く、どうなるものかと案じていましたが、少しずつ、信頼関係を築く事ができていると思っています。
『諦めてここに居るしかないか~アハハ』と話されることもあり、このまま、ホームでの生活を受け入れていってくだされば良いなと思います。」
「その方は今、境目のところにいるのだろうね。
きみもホームが長くなっているので分かっているだろうけど、家に帰って、そのあとホームへすんなりでも泣き泣きでも、戻っていただけたら、これはもう大丈夫だ。
初めてのホームを開設した年、僕は職員と二人で、帰宅願望を頻繁に口にされていた利用者様を空き家になっている自宅までお連れした。
濡れ縁に腰掛けて景色を眺めながら、ホームから持参したポットのお茶を飲み、庭の柿をもぐなど一時間ほどいて、帰ってきた。
それで納得されたのか、以後ホームを自宅と思っていただけるようになった。
たぶん、さまざまな思いがあっただろうに、それを全部飲み込まれて、こらえていらしたのだろうね。
偉いなあ、と思って僕はいつも敬意を持ってその方に接した。懐かしい思い出だ。
また、その時同行してくれた職員は後年、管理者になった。とにかくよくできた女性で、僕は掌中の玉のように彼女を大切にした。」