波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

理由と意味

2020年02月06日 | 日記・エッセイ・コラム

(公式裏ブログ「波風食堂、準備中です」からの続き)

・・・・・反省の歴史をさかのぼるとこの時の恐怖と痛みを思い出す。鎖の長さを見誤った、眠っていたはずの犬が起きると思わなかった、囓(かじ)ることはないだろうと油断していた。それから犬嫌いになり、優しい犬の頭を撫でる今だって、「もしかしたら囓られる」心配を忘れたことはない。

回の題名『理由と意味』は、若い頃に失敗した時は『理由』を考え、若くない今は『意味』を考えることが多くなったからだ。子どもの時は大人から「失敗した理由を考えなさい」と言われ、仕事の失敗時も「同じことを再びしないように」と原因を探した。これは、未来を生きる時間がたくさんあるからだ。問題の大小はあるだろうが、老人生活では今までも何とかして来たから今回も何とかなるだろうという経験則からの楽天的な見方や、静かな生活に珍しく起きた刺激的な出来事に思えたり、未だエネルギーは残っているからひと頑張りすれば良いだけの話、という気持ちが強い。老人だから当然だが、人は誰でもいつからでも大人っぽくなれるのだ(笑)

味を考えるという意味は、起きるべくして起きたことの気づきにある。若い頃の原因追求は理数系の正解発見型でそれに比べて、文系の人生洞察型とも言える。今を起点にその前後の「人・もの・こと」を巡る連鎖の帯にできた傷というか破れを、大きく言えば我が人生に、小さく言えば自分の身体や人間関係に引きつけて、茶など飲みながら「この際、ゆっくり哲学してみよう」と沈思黙考してみる。
車の駐車でバックする進路を間違ってバンパーをこすったり、その数日後に郵便局に駐車してドアに追突された。理由を何度も口にして自分を責めるママヨさん、それに比べその百倍(話してない失敗を入れると百五十倍ぐらい)は反省必要な波風氏は、哲学的な雰囲気を纏いつつ静かに「原因よりも、2つの事故にどんな意味があるのか考えてみよう」なあんて優しく語りかけるのであった(笑)。


イラストは去年夏、白い秋田犬と。なんてかわいいんだろう(笑) 個性的作家描く『黄昏のダンディズム』(村松友視著:佼成出版社)、通院先待合で読む。後10年、いや今、12人中で何人が知られているのだろう『中原中也との愛』(長谷川泰子:角川ソフィア文庫)で、17歳の詩人と同棲した長谷川泰子。小林秀雄との三角関係の謎を垣間見る。

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