電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『夏燕ノ道~居眠り磐音江戸双紙(14)』を読む

2009年01月09日 06時41分32秒 | -佐伯泰英
佐伯泰英『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第14巻、『夏燕ノ道』を読みました。この巻は、要するに日光社参の顛末です。

第1章「卯月の風」。将軍家治の日光社参の準備態勢づくりに追われる今津屋を舞台に、500両の無心に来た間抜けな旗本の話です。前巻でおこんの気持ちを確かめている磐音クンは、金兵衛氏の見合い話三連チャン計画にもまったく動揺しておりませんようで。
第2章「出立前夜」。日光社参の間、今津屋の警護は佐々木道場の猛者連が泊まり込みで務めることに。日光社参の道中の情報源として、弥助が同行することになります。弥助氏は、どうも隠密のような雰囲気です。変な勘定方の太田さんは、どうもいまひとつ頼りない感じです。とにかく、出立の前夜です。
第3章「若武者と隼」。将軍家治が日光社参に出立した日、勘定方の一行も、町方の元締である由蔵の一行も出発します。勘定奉行の用人として一行に加わる磐音は、将軍世子家基が隠密裡に同行していることを、由蔵のみには伝え、河原の一角で家基らと合流します。大納言家基さんは15歳といいますから中学三年くらいでしょうか、なかなか聡明な、年齢よりもずっと落ち着いた、高校生くらいの印象を受けますが、それは江戸城内での暮らしから離れた自由が、そのように見せているのかも。むしろこの章のハイライトは、豊後関前藩主と家老とが将軍家治に面謁し、小刀と時服を賜わるというくだりでしょう。「予は磐音を手放したことはないぞ」という藩主の言葉を、当の御本人に聞かせてやりたいところです(^o^)/
第4章「思川の刺客」。田沼意次一派は、家基に刺客を放ちます。雜賀衆蝙蝠組です。一方、磐音サンも忙しい。町方の事務処理の効率の良さにつむじを曲げ、存在を示そうと仮病を決め込んだ出納方組頭に実力行使を行います。かと思えば、家基を狙う雜賀衆の下忍を蹴散らします。旅のつれづれに、磐音の脱藩の原因となったいきさつも聞き、家基さんは考えるところがあるようです。
第5章「女狐おてん」。法華堂における攻防、なかなか迫力があります。そして、とらえられた霧子さん、新たな登場人物ですが、今後どんな役割を果していくのでしょうか。

第14巻、けっこう面白かった。磐音クンが強過ぎて、市井のごろつきでは相手にならないため、最近ワンパターンになっておりました。新たな登場人物、新たな場面、というのが効果的なようです。
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