電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

池上彰『そうだったのか!日本現代史』を読む

2015年07月05日 06時04分54秒 | -ノンフィクション
集英社文庫の、池上彰著『そうだったのか!』シリーズより、『中国』に続き『日本現代史』を読みました。
本書の構成は、次のとおり。

第1章 小泉内閣が生まれた
第2章 敗戦国・日本 廃墟からの再生
第3章 自衛隊が生まれた 憲法をめぐる議論始まる
第4章 自民党対社会党~「五五年体制」の確立
第5章 安保条約に日本が揺れた
第6章 総資本対総労働の戦い
第7章 日韓条約が結ばれた
第8章 文部省対日教組 教育をめぐって抗争が続いた
第9章 高度経済成長 豊かな日本への歩み
第10章 「公害」という言葉が生まれた
第11章 沖縄は帰ってきたけれど
第12章 学生の反乱に日本が揺れた
第13章 日本列島改造論と田中角栄
第14章 バブルが生まれ、はじけた
第15章 連立政権の時代へ

いずれも興味深い内容ですが、私の生まれる前の頃の話が、とくに興味深いものがあります。敗戦国・日本が廃墟から再生するについては、経済の破綻の中を生きのびなければならなかったこと。わが老母は、戦時中、女学校の同級生たちと共に、神奈川県の軍需工場に動員されたのだそうですが、食べ物が乏しくて、ひもじくて閉口したといいます。同級生の中に農家があり、送ってもらった食物を分けてもらい、うれしかったそうな。戦後すぐにお嫁に行くときに、非農家出身にもかかわらず農家の長男に嫁いだのは、食物に不自由しないだろうと思ったから、と笑います。なるほど!です。

戦争犯罪の追及や農地改革などについても、戦争中は軍国主義の旗振りや監視・告発に奔走していたのに、戦後になるとコロリと旗色を変えて、政治家としてのし上がっていった人など、村の役職にあった祖父や、先年亡くなった父からも、「大嫌いな人」として名前を聞かされたものでした。ああなるほど、その人は、占領軍に取り入ることによってそれが可能になったのだな、と合点がいきました。

そういえば、私が物心ついた頃にも、当地には進駐軍の将校が家族と共に住んでおりました。その子どもたち、兄と妹とは、一緒に遊んだものでした。駐屯地はすでに米軍から今の自衛隊に引き継がれていたはずなのに、なぜあの米軍将校家族は居住していたのか? その理由が、おぼろげながら理解できたように思います。もしかしたら、あれは情報将校であり、自衛隊はその成立時から、米軍の傘下にゆるやかに組み込まれていたということか。思わず眼からウロコです(^o^)/
いや、単に国際スパイ小説の読みすぎだったりして(^o^)/



公害や沖縄返還、あさま山荘事件、田中角栄、バブル経済などは、まさに同時代史です。思わず懐かしさが優先しそうになりますが、本書のように解説され意味づけられてみると、平易でたいへんわかりやすい。『そうだったのか!日本現代史』という書名は、まさにそのものズバリです。

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