従兄の入棺に際し、残された家族が思い思いの品を棺の中に入れていました。奥様は愛用の普段着を、喪主をつとめた長男は藤沢周平著『密謀』の文庫本上下巻を入れていました。息子が父親の愛読書を知っていて棺の中に入れてくれるというのは、親子の関係をしのばせるもので、少々しんみりしてしまいました。

帰路、すっかり水が入った田んぼに蛙の合唱がかまびすしく、まさに「天に聞こゆる」ほどでした。従兄の魂というものがあるのならば、おそらくはまだ幽冥の境あたりをうろうろしているところかもしれず、今頃は静かに遠田の蛙の合唱を聴いているのかもしれません。

帰路、すっかり水が入った田んぼに蛙の合唱がかまびすしく、まさに「天に聞こゆる」ほどでした。従兄の魂というものがあるのならば、おそらくはまだ幽冥の境あたりをうろうろしているところかもしれず、今頃は静かに遠田の蛙の合唱を聴いているのかもしれません。