ダサいと言われた時、ダサい舞台は伝統だと突っぱねるか、それともダサい→凄いに変える舞台を目指すか、総合芸術を真に世界の観客にも見せられる舞台の質を高める課題は沖縄の舞台全体に云えることだろう。
興味深かったのは、板谷 徹さんや立教大の細井さんなど、アジアの少女歌劇を科研テーマにしている方々が劇団「うない」を観劇しているという事実である。一列目で見ていたが、後ろの席の女性が「テンポが遅すぎる」「声がでないね」と話したり、一方で「うないの追いかけをしているフアン」という中年の女性もいた。
平安さんと久しぶりに雅恵先生もごいっしょにお話しできたのは良かった。
1月18日の舞台よりのびのびとした広いステージで大きく演じた再演、は総体的に良かったと云える。地謡の歌が楽しめた。それがとても良かった。船越義彰さんの脚本は、どの作品もどこか、欠けたところがあるというのはいつもの印象だ。それは「謝名原の乱」でもそうだし、「薩摩侵攻の舞台」でもそうだった。作劇に何かが足りないと思わせるのである。しかし、氏のジュリを主人公にした小説など読ませます。貴重な記録にもなっています。
アヤ羽(棚原由里子)の針突のいわれが曖昧なままだ。由里子さんはしっとりと落ち着いて演じていて好ましかった。金真弓の花岡尚子は低音で声音をしっかり出して唄っていた。彼女の芸域の幅は著しく良くなっている。多様に舞台に出る機会が増えていることも含め、頼もしい。脇役だが祖慶しのぶなど歌も楽しめる。若者役の平良鈴華、比嘉梨緒菜、宮里香澄など、これから男役が期待できる。
1960年に上演した「真夏の夜の夢」に1990年の劇中劇を挿入したら、いい舞台ができると、シェイクスピア研究者の雅恵先生。独特な沖縄歌舞劇が出来る可能性は大だ。90分以内で間の者たちの滑稽な場面を入れ、歌と躍り、台詞で楽しめる斬新な舞台の登場を念じるばかり。劇団「うない」の十八番だ。
「エーク小」はかつて上間初枝さん兼城道子さんが踊った『乙姫』舞踊です!こうした乙姫独特の舞踊が数多く残されています!新城栄徳さんの背景幕、「真っ赤なデイゴの花」は、インパクトがすごいですね。
「月城物語」は物語の筋書が明確ゆえに逆に、物足りなさがでるのも事実かもしれない。