(鳩が一羽、台風前の夕暮れ時)
返しといえば、人生返り道が美しいという文句があった!返り道をどう歩くか、人はそれぞれに返り道を振り返りつつ歩いているのだろうか。
国の姿も衣替えする。振り子のように揺れる時勢の波もある。無常の時、止まらない時を生き生かされる日々、絶えることなく進む時に身をゆだねて明日という二文字に夢をつなぐ日々。今日から明日へ、きっといい事があるにちがいない。悪いことがあるかもしれない予見や不安を飲み込みながら、しかし希望を抱いて生きている。生かされている。
「台風や嵐の後は返しもあるよ、あみあらしぬあとぅやけーしんあんどー」と、彼女は言った。朝の電話は、人の無常を伝えてきた。昨日まで晴れやかだった姿が一夜にして花が枯れるように、身が竦んで小さくなる。枯れていく身体を見据えざるをえない。意識がらんらんと輝く時も消えうせる。その時に向かって自然の摂理を生きている。
おごりたかぶる夜叉の心も仏心になるだろうか。