志情(しなさき)の海へ

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「ジェンダーに基づく暴力」という現実がすべての女性を結びつける一つである!

2012-05-30 01:44:04 | ジェンダー&フェミニズム
Women, Gender,and Human rights:A Global Prospective= 『女性の人権とジェンダー』明石書店、2007に引きつけられて読んでいた。ジェンダーと人権、人類の歴史の中における女性の位置が見えてくるのはいいと思う。様々な世界的な人権を保護する法律の中でジェンダー構造のもつ差別や暴力性もまた表にこれでもかと表示されてくる。変わらない「ジェンダー構造」の中の暴力性は、確かに『当事者意識』をもたらす想像力を要求する。この地球惑星における女性の歴史、この間の女性の人権がどのように推移してきたのか、概観が見渡せるのはいい。

人類史の中で紀元前に書かれたホメロスの『イーリアス』が男性ヒーロー・アキレヴィスを中心に描かれているが、「西欧文学の伝統の起源」=女性が戦利品すなわち男性の力関係を示す交換物として表象されている文学の起源、すなわち女性に対する暴力の歴史でもあるということに目が覚める。シモーヌ・ヴェイユによれば、「イーリアスの真の主題はそれを被る者も行使する者をも破壊してしまう盲目的な『力』である」と評している。

シモーヌ・ヴェイユは「野蛮についての考察」で「人間という者は常に弱者に対して野蛮に振るまうという公準を私は示したい。・・・・寛容さの努力が払われぬ限りは、人間は常に弱者に対して野蛮に振るまう」と主張し、野蛮という精神的特質は特定の時代や特定の民族に固有なものではないことを論証している。「力」に対して「愛と正義と寛容」を取り戻す、人間の感受性を呼び覚ますことの重要さが浮かび上がる。

「記憶と忘却」のせめぎあいもある。
世界を視野に入れる時、多様性のなかにある本質的な暴力構造に思い至る。この世界は暴力を是認して成り立っているようだ。

この本のサブタイトルに地球規模の視座に立ってとある。性的収奪、レイプや伝統、習俗も含め、女性の人権をジェンダー(社会・文化的に構築された男女の差異)から見たらどう見えるのか?

自身の課題テーマともからめられる興味深い書である。備忘録として書いておこう。

大越愛子の『脱暴力へのマトリックス』(青弓社、2007)も読みたいね。

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