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男踊りを得意としていると評判の千枝先生ですが、以前琉球新報ホールで女古典七踊りの独演会を開催したことがありました。確か三隅 治雄先生が解説で登壇されていたと記憶しています。つまり男踊りの名手だけではなく古典女踊りも熱心に踊ってこられた舞踊家です。その本領が存分に花開いた「諸屯」を舞台手前の三列目から目を凝らして観ました。千枝先生の踊り(独演)は「諸屯」「高平万歳」そして創作舞踊「初ムーチー」の三作品でしたがその中で「諸屯」の印象が強烈でした。
舞踊の峻厳さは、全身全霊で踊ることを要求されます。舞踊家の人生、精神の総体が多くの視線の中に晒されます。それゆえに古典や雑踊りにしても、舞踊家の存在感の重量、情感の薄さ重ささえ、見えてきます。ゆえに二人で古典を踊った場合、比較の中で、優劣がはっきり浮かんできます。舞踊の怖さではないかと思います。
まして一人で古典女踊りを踊る時、やはり見えない他の実演家(舞踊家)の踊りの量感や質感と比較して見ています。
三曲構成の「諸屯」は比較的長い踊りで、歌にのせて踊る女の思いが際立っています。千枝先生の表情の真剣さ、恋する女の諦観や情熱がじわりと観る側に迫ってきました。解説に「女性の内に秘めた想いが動作のなかに凝縮され、美の世界へと昇華されていきます。」とあります。たしかに踊りの所作の細やかな型や変化、身体の動き、表情が美しく、ある刹那、カタルシスをもたらします。
他、前評判がやはり高かった「高平良万歳」は厳しい所作が続く中で丁寧に踊っていました。初見だったけれど、熱量のすごさが伝わってきました。
最後の演目は「初ムーチー」です。ムーチーができるまでの物語をまるで舞踊と演劇の合体のように、広い舞台狭しと歌詞とリズムに合わせて踊っていました。一人芝居のような雰囲気は軽快で懐かしさを伴っています。他界された元人間国宝、照喜名朝一さんの歌詞・作曲、演唱がすばらしく、またそれらを味わいながら何度でも観たくなる創作舞踊です。
(続く)
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「諸屯」(歌詞は男性のユカッチュ/士族からジュリへの恋慕だと考えています。)しかし戦後女性の思いとして深まりました。男性の恋に焦がれる舞踊はないですね。「手水の縁」の山戸の忍びの場の所作が原型でしょうか。そして、歌劇「泊阿嘉」の樽金です。
仲間節:歌詞
思事の有てもうむくとぅぬあてぃん 与所に語られめゆすにかたらりみ
面影と連れてうむかぢとぅつぃりてぃ 忍で拝ましぬでぃおぅがま
訳
心にお慕したいすることがあっても他人に語ることができましょうか。
あなたの面影を連れて、忍んで行ってお顔を拝みたい。
しよどん節:歌詞
枕ならべたるまくらならびたる 夢のつれなさよゆみぬつぃりなさゆ
月やいりさがてつぃちやいりさがてぃ 冬の夜半ふゆのやふぁん
訳
枕を並べ情を交わした夢から覚めたときのつれないことよ。
すっかり月は西に入りかけ、冬の夜半の侘わびしさが募つのる。
しやうんがない節:歌詞
別て面影のわかてぃうむかぢぬ 立たば伽召しやうれたたばとぅぢみしょう
馴れし匂袖になりしにおぃすでぃに 移ちあものうつぃちあむぬ
訳
別れた後、わたしの面影が立つのならば、これを慰めにしてください。
馴れ親しんだ匂いは着物の袖そでに移してありますから。
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祝辞のご紹介です。
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以下の皆さまの文書の中には名優真喜志康忠氏のお名前が言及されています。真喜志康忠生誕100年記念の今年です。来年101歳を迎える前に60年ぶりの「落城」(一名真壁樽)を上演します。お楽しみに!
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