志情(しなさき)の海へ

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「ユンタクコーナー」吉田妙子&晶子

2019-09-12 21:23:11 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
 
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本日!1月14日午後7:00上演/琉球歌劇「豊年」「報い川」「プログラム」の一部/連絡:090-1948-8924/パレット市民劇場


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晶子:吉田さんとは平成2年に「嘉間良心中」(吉田スエ子作/平識晶子脚本・演出)を一緒に舞台化して以来のお付き合いですね。あの頃から吉田さんの演劇に対する情熱のすごさは身近で感じたのですが、その後一人芝居「道」(名護宏英作)そして「ランタナの花の咲く頃に」(長堂英吉作)と常に新しい作品を創ってきていますね。今回、親泊興照さんの作品を上演する意義はどこにあるでしょうか。


吉田:親泊先生は儀保松男とコンビの「加那ヨー天川」がとても人気があり、歌劇役者として、また昭和47年の日本復帰の年には、組踊の初代国指定保持者に認定され、沖縄伝統芸能に大きな功績を残しています。また先生の作品の一つ、歌劇「中城情話」はよく上演されていますが、今回上演する「報い川」はあまり上演されていません。昭和27・8年の頃、「報い川」として上演されていて、私はカミヂャー役の先生の相手役、ウサ小でした。その後いつの間にか「報い」という名称になっていました。今回は、昭和27・8年頃の名称に直し、脚本も製本しました。興照芸(台詞や歌、そして足使いの面白さ)をしっかり残し、若い者たちに継承する目的があります。


晶子:この「報い川」の面白さはどこにあるでしょうか。


吉田:この作品は昭和7年に興照先生が南洋巡業中にできたと言われていますが、今でも人気のある村々の島角力などが取り入れられていて、島の風俗がよくあらわれています。また誤って人を殺した罪という重いテーマが背景にあり、若い、愛し合っているカミヂャーとウサ小が結婚を許されずに悩んでいる一方で、村のカナガナとした夫婦を登場させたりしていて、人生の陰陽、表裏、光と影を描いています。とても深いなーと思いますね。


晶子:確かに重たいテーマの中に仲の良い夫婦の歌の掛け合いが挿入されていて、そこだけ「楽しき朝」としてよく抜き出されて演じられていますね。


吉田:この明るい夫婦の歌は先生の特徴です。台詞の違った所も今回直しましたよ。昔の沖縄では牛オオラセー、角力(しま)勝負(すーぶ)、村芝居が人気の娯楽でした。「あぬ村ぬテーソウ(代表)と相撲勝負あんでぃどー」と云って、よく村々で角力勝負があったみたいだね。でも空手と同じで勝負事だから怪我したり、急所(チブルクル)に当たって倒れる人もいたみたいで、だから【手ぬ出じらぁ 意地ゆ引き 意地ぬ出じらぁ手ゆ引きんでぃ】いち、「豊年」の中にも出てきます。村の生活の匂いや恋のテーマが特徴ですね。


晶子:この作品の深みは罪を背負って18年生きてきた男の贖罪と、その罪(真実)を知って生きていく若い夫婦の愛の行方が問われてもいるのですが、罪意識は沖縄芝居ではあまり描かれていませんね。勧善懲悪が多い中でとても印象的です。


吉田:すごく厚みがありますよね。今頃65年前の戦争で死んだ人たちの骨が出てきたりしているんだけど、戦争の罪も含め、また大なり小なり、学校のいじめも含め、罪の意識が問われていると思うのだけれど、興照先生はどういう思いで創ったんですかねー。


晶子:時代を先取りしていたのかもしれませんね。最後に、なぜ今「沖縄芝居」なんですか。


吉田:「沖縄芝居」は沖縄の芸能文化の「ルーツ」ですよね。祭祀芸能から踊りが生まれて組踊もそうだと思いますが、沖縄芝居はもっと一般の人々の思いが描かれていますよね。それとウチナーグチは沖縄の魂の根っこのようなもので、沖縄芝居はウチナーグチがないと成り立ちませんからね。ウチナーグチを残すためにも沖縄芝居がなくてはなりませんね。また普段の生活の中でもウチナーグチを使ってほしいですね。「ウチナーグチ忘(わ)しぃしが親(うや)ぬ顔(ちら)んわしん 親ぬ顔忘しぃしが故郷(くに)ん忘しんでぃいちよ」(沖縄語を忘れる者は親の顔も忘れる。親の顔を忘れる者は故郷も忘れるってよ)


晶子:同感やいびーん。沖縄芝居や是非残(ぬ)くさんとならん沖縄芸能やいびーんや。


<2011年1月8日、吉田妙子さんの自宅にて>



≪「人類館」の女、小嶺和佳子さん!≫

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