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(これはパンフの一部)
昨日夕方から北谷ニライセンター「カナイ・ホール」でのゲネを見た。ウチナーグチやウチナー芝居の演技指導をしてこられた平良進さんや吉田妙子さんとご一緒に見せていただいた。総勢30人ほどの陣容のこの舞台は史劇であり現代劇である。宮城信行氏のこの作品は、沖縄市民会館・開場記念に上演されて以来のことで、かれこれ30年もたっている。それ以来の舞台化だが、なんと現代の若者がこの史劇をするという設定のはめ込み舞台で、メタシアターの面白さに包まれている。いわゆる劇空間のディフォルメの手法だが、それがそれで面白く見せた。普段、組踊を含めた沖縄演劇、劇場と社会の問題、またウチナーグチの問題を含めて、演劇大好きな私自身が考えていることが役者の口からポンポンと歯切れよく飛びだす言葉に同感しながら、かつエールを送りながら、笑い転げ、それでいて琉球史の転換期を彩る尚徳と金丸、安里、久高ノロ・クニチャサの登場する史劇に目を見張った。
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≪平良進さん、当山さん、吉田さん≫
***************************
2011年10月29日(土)午後2時、午後7時開演
10月30日(日)午後2時開演
場所:ちゃたんニライセンターカナイホール
2500円・1500円(学生)
お問い合わせ:國中090-9781-7431
:ニライセンター:098-936-3492
***************************
すでに劇団【満福中枢】の犬養恵子、仲程千秋が8月にこの同じ「カナイホール」で上演した【いめらめら】を見た目には舞台のデフォルメ的な構成の面白さは免疫がついている。原作は同じ宮城信行である。宮城さんがこのように舞台に晴れ姿を見せたことになる。不思議な思いがする。
第一尚氏から第二尚氏の琉球王統の転換期のドラマはこの間も結構芝居になっている。歴史の捉え方によって多様な物語が展開されている。この物語の視点もまた新鮮で、従来の歴史観にそっていながらまた微妙な違いがあり、強調すべき所が異なったり、あるいは思いがけない論の展開があったりする。大筋は同じでも、歴史の推移の流れが、細部の底にいたる物語に違いがある。尚徳と久高ノロ・クニチャサの愛のドラマは新作組踊「海の天境」でも描かれた。宮城信行は二人が嵐の中をサバにで喜界島に向かいながら行方不明になったとする。その最後の場面は悲劇的でありながらしかしロマンも漂わせる。その辺は演出家・田原雅之のセンスであり、野心でもあろうか?
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(最後の尚徳とクニチャサのサバニの印象的な場面に演出の手を入れる田原さん)
しかし劇団O・Z・Eの主役級の役者とTTC、満福中枢、そして沖縄芝居役者の中堅で頑張る新垣正弘さんや普久原明さん、そしてオペラにも出る当山彰一さんが中軸を担っている。ウチナーグチがなかなかいいのである。もちろんこの間やりなれてきた新垣さんや普久原さんは格別である。尚徳王役の平安信行さんはかっこいいし、クニチャサの安次嶺正美さんは愛らしい。金丸の当山さんのウチナーグチはもうメロディーのように聞こえてくる!
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(國吉さんの着付けを手伝う吉田妙子さん)
宮城信行さんの脚本には異論もある。つまり尚徳の母親・王妃を悪者に仕立て上げ、女が祭事(政治)に首を出すと国が滅びる、のようなステレオ・タイプの解釈が裏で脈打つという物語設定で、それには疑問をもっている。そこはじっくり捉え返してみたいと思う。
しかし面白いウチナー現代劇の誕生である。そこには演出家・田原雅之の現在の沖縄演劇状況への厳しい批判の眼差しが流れている。多くの沖縄芸能・演劇を愛する方々に是非見てほしい!
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(出演の新垣正弘さん、当山彰一さん、吉田さん)
国立劇場おきなわの問題も含めて劇的空間の豊饒さを願う方々には必見の芝居の誕生である!ここから沖縄はどこへ向かうのだろうか?
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(ゲネの最後の確認の時にも熱心に指導する平良進さん)
沖縄芝居役者の知見や見聞(体験・経験)が台詞の中に散りばめられている。彼らは沖縄芝居役者の経験を現在に生かしかつ継承する情念をもってそこに存在している、そのことに圧倒された。
(これらの写真は芝居役者の若者への芸の継承の姿を記録に残したいゆえに撮った。演出の田原はゲネ写真を禁じたのだが、それは基本路線として受けとめた。東京の著名な演出家・栗山民也や作者の下島三重子さんは【かじまやーカメおばあの生涯】の舞台上演に際し、ゲネの時、了承してくれた。おおらかさがあった。今批評・研究する者にとって状況は厳しい。それでも著作権侵害ではなく、演劇を応援する立場で係わりたい。問題がありましたらいつでも削除はOKです!国立劇場沖縄はゲネを見ることすら禁止するという。批評されることが怖いのだろうか?舞台創造の現場を見たいという思いは変わらない。国立劇場おきなわさま、もっと沖縄の民衆に優しくなってほしいです。日本国の劇場であって沖縄の民衆のための劇場ではないのですか?)
昨日夕方から北谷ニライセンター「カナイ・ホール」でのゲネを見た。ウチナーグチやウチナー芝居の演技指導をしてこられた平良進さんや吉田妙子さんとご一緒に見せていただいた。総勢30人ほどの陣容のこの舞台は史劇であり現代劇である。宮城信行氏のこの作品は、沖縄市民会館・開場記念に上演されて以来のことで、かれこれ30年もたっている。それ以来の舞台化だが、なんと現代の若者がこの史劇をするという設定のはめ込み舞台で、メタシアターの面白さに包まれている。いわゆる劇空間のディフォルメの手法だが、それがそれで面白く見せた。普段、組踊を含めた沖縄演劇、劇場と社会の問題、またウチナーグチの問題を含めて、演劇大好きな私自身が考えていることが役者の口からポンポンと歯切れよく飛びだす言葉に同感しながら、かつエールを送りながら、笑い転げ、それでいて琉球史の転換期を彩る尚徳と金丸、安里、久高ノロ・クニチャサの登場する史劇に目を見張った。
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≪平良進さん、当山さん、吉田さん≫
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2011年10月29日(土)午後2時、午後7時開演
10月30日(日)午後2時開演
場所:ちゃたんニライセンターカナイホール
2500円・1500円(学生)
お問い合わせ:國中090-9781-7431
:ニライセンター:098-936-3492
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すでに劇団【満福中枢】の犬養恵子、仲程千秋が8月にこの同じ「カナイホール」で上演した【いめらめら】を見た目には舞台のデフォルメ的な構成の面白さは免疫がついている。原作は同じ宮城信行である。宮城さんがこのように舞台に晴れ姿を見せたことになる。不思議な思いがする。
第一尚氏から第二尚氏の琉球王統の転換期のドラマはこの間も結構芝居になっている。歴史の捉え方によって多様な物語が展開されている。この物語の視点もまた新鮮で、従来の歴史観にそっていながらまた微妙な違いがあり、強調すべき所が異なったり、あるいは思いがけない論の展開があったりする。大筋は同じでも、歴史の推移の流れが、細部の底にいたる物語に違いがある。尚徳と久高ノロ・クニチャサの愛のドラマは新作組踊「海の天境」でも描かれた。宮城信行は二人が嵐の中をサバにで喜界島に向かいながら行方不明になったとする。その最後の場面は悲劇的でありながらしかしロマンも漂わせる。その辺は演出家・田原雅之のセンスであり、野心でもあろうか?
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(最後の尚徳とクニチャサのサバニの印象的な場面に演出の手を入れる田原さん)
しかし劇団O・Z・Eの主役級の役者とTTC、満福中枢、そして沖縄芝居役者の中堅で頑張る新垣正弘さんや普久原明さん、そしてオペラにも出る当山彰一さんが中軸を担っている。ウチナーグチがなかなかいいのである。もちろんこの間やりなれてきた新垣さんや普久原さんは格別である。尚徳王役の平安信行さんはかっこいいし、クニチャサの安次嶺正美さんは愛らしい。金丸の当山さんのウチナーグチはもうメロディーのように聞こえてくる!
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(國吉さんの着付けを手伝う吉田妙子さん)
宮城信行さんの脚本には異論もある。つまり尚徳の母親・王妃を悪者に仕立て上げ、女が祭事(政治)に首を出すと国が滅びる、のようなステレオ・タイプの解釈が裏で脈打つという物語設定で、それには疑問をもっている。そこはじっくり捉え返してみたいと思う。
しかし面白いウチナー現代劇の誕生である。そこには演出家・田原雅之の現在の沖縄演劇状況への厳しい批判の眼差しが流れている。多くの沖縄芸能・演劇を愛する方々に是非見てほしい!
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(出演の新垣正弘さん、当山彰一さん、吉田さん)
国立劇場おきなわの問題も含めて劇的空間の豊饒さを願う方々には必見の芝居の誕生である!ここから沖縄はどこへ向かうのだろうか?
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(ゲネの最後の確認の時にも熱心に指導する平良進さん)
沖縄芝居役者の知見や見聞(体験・経験)が台詞の中に散りばめられている。彼らは沖縄芝居役者の経験を現在に生かしかつ継承する情念をもってそこに存在している、そのことに圧倒された。
(これらの写真は芝居役者の若者への芸の継承の姿を記録に残したいゆえに撮った。演出の田原はゲネ写真を禁じたのだが、それは基本路線として受けとめた。東京の著名な演出家・栗山民也や作者の下島三重子さんは【かじまやーカメおばあの生涯】の舞台上演に際し、ゲネの時、了承してくれた。おおらかさがあった。今批評・研究する者にとって状況は厳しい。それでも著作権侵害ではなく、演劇を応援する立場で係わりたい。問題がありましたらいつでも削除はOKです!国立劇場沖縄はゲネを見ることすら禁止するという。批評されることが怖いのだろうか?舞台創造の現場を見たいという思いは変わらない。国立劇場おきなわさま、もっと沖縄の民衆に優しくなってほしいです。日本国の劇場であって沖縄の民衆のための劇場ではないのですか?)