ようやく辺見さんと目取真さんの対談を読んだ!5時間に及ぶ対談だと辺見さんのブログは伝えている。ということは、4月16日に琉球新報と沖縄タイムスで同時に掲載されたこの対談はかなり抜け落ちたことばのエキスでしかない、ということを意味する。対談の全体が言葉になり掲載されることを希望したい。あるいは対談のことばを直に拝聴したい。
このエキスだけの対談のことばに、確かに重要なことが指摘されている。お二人の小説や評論、詩などを読んできたので、研究者としてではなく、日本・沖縄・世界を代表する良識、倫理、思想、歴史や人間性の本質を追及している作家として、とても気になるお二人の対談なので、興味深く読んだ。そこには、現況への明るい展望はほのかな光が差しているだけである。暗く、蒙昧。しかし、そこに本質的な日本なり沖縄が据え置かれた問題が提示されている。日本(やまとぅ)の欺瞞・偽善・あくなく沖縄を利用しつくそうとしてきた、している日本(人)のマジョリティーの偽善的な表層があぶりだされている。それだけで、良しとしていいのだろうか。
憲法9条賛成で日米安保容認の多くの日本人の欺瞞がどこに根ざしているのか、戦後72年の現在にいたる昭和から平成の時代の奥に、淀んできた思潮が見え隠れしている。第二次世界大戦の無惨で残酷な敗戦に至る日本の近・現代史はまだ、きちんと切開されていないのだと、思えてくる。イラク戦争が開始された時、アフガンやイラクではなく、アメリカこそがテロリスト国家だといち早く自国を激しく批判したチョムスキーがいた。インディアンを絶滅に追い込んで成り立ったアメリカが、虐殺国家の非道さを礎にして成り立ってきたのだと、常に言葉にするチョムスキーがいる。ひるがえって、近代から現代にいたる日本の国家悪を見据えながら日本(人)を見据える作家や思想家、理論家は少ない。
辺見さんはその稀な作家のお一人である。曖昧でグレーの中、真実の在り処を目隠ししながら歴史を突き進んできた日本という国のありように知識人や作家や芸術家はどれほど肉薄しているというのだろうか?おだやかさ、あいまいさ、中庸の美の和の中で総てを反故にし社会の安寧を、争いなく、体制融和を求めていく協調社会が実は、冷たく多くのはじかれた人々を生み出し続けていることも事実だ。あくどい罪の根を、きちんと浚うことがない体制を維持してきた日本という国のありように、真っ向から向き合う事がない多くの知識人の群れやメイン・メディアもある。
この社会のシステムの欠陥や差別構造を鮮やかに抉り出す人々がいるのは小さな希望になりうる。そこがこの対談の可能性ということになるのだろうか?政府が恥づかしげもなく差別構造を肯定し居直るこの国である。おそらくお二人はもっと小説について語り合ったのだと思うが、その断片が言葉になっているだけなのだろう。『希望』で、アメリカ人の赤子を殺した男は少年達に足蹴りにされ黒こげになって残された。黒焦げになった塊は、人が容易に人ではなくなることを暗喩している。意識がある間、考え、理性を駆使し、真にありうべき人の関係性や社会のより民主的システムを追求することが可能だ。進行形の現在と未来がある。
多くのアジアの人々を殺し、自国の兵士も何百万人も餓死させる国は、多くの女性を従軍慰安婦として強制徴用することもできた国である。白馬の上の神を称え、神の声に震え、戦後72年もその感性を引きずったままである。麗しい国である。北海道と沖縄は日本の領土拡大と防衛の砦として今も位置づけられている。国境がなくなる日、東アジアが拓かれていく未来に希望を持ちたいのだがー。
島魂のような目取真さんが島と現代の歴史の先端で全身で向き合っている姿は「たいへんさ」を越えて執念に見えるが見ているのもつらくなる。それほどに海や森に、島に自らの生を丸ごとぶっつけている姿は、無意識であれ、島の現況を憂える沖縄に住む人々の「心の糧」になっているのは事実だと考えている。目取真さんのことばに真摯に耳を傾けることができる日本の作家や詩人は多くはないのだろうか。感性の在り処が、辺見さんと温度差があるのも事実なのだろうか?日本のメイン・メディアは早く紙面で紹介してほしいですね。できれば対談の中身を丸ごと言葉にして開示してほしいものです。
1★9★3★7はアジアを包摂する。中国における非道な日本兵の行為、その荒地・地獄図は、人間がおなじ人間を極悪非道に扱った寒々とした光景を描いてみせる。→真逆の美しき存在とは?
人間=邪悪な存在、人間=崇高な美意識を持つ存在、人間=慈悲を持つ存在、人間=地球の支配者、人間=強者が弱者を餌食にする存在、人間=犠牲を伴う贖罪感を持つ存在、人間=死すべき存在、人間=悪魔と女神が共存する存在、人間=無垢で邪悪なる存在、人間=正義を追及する存在、人間=権力を志向し乱用する存在、人間=他者を排外し自己保身をする存在、人間=あくなき探究心に燃える存在、人間=真理を体現する存在、人間=連帯感を持つ存在、人間=孤独で哀しい存在、人間=無限の愛を擁く存在、人間=???、人間=AI?、人間=愛すべき存在、人間=地球を破壊する存在、人間=時間の川を泳いでいる存在、人間=勇気を持つ存在、人間=智恵ある存在、人間=利権と欲得にまみれた存在、人間=明るい存在、人間=観念的で動物的な存在、人間=人類愛を持つ存在、人間=人種差別をする存在、人間=多種多様な宗教を信仰する存在、人間=育った環境・文化遺伝子を保持し継承する存在、人間=地球市民、人間=ナショナルでインターナショナルな存在、人間=希望と絶望を包摂する存在、人間=勇気ある存在、人間=明日に希望を抱く存在、人間=真・善・美を追究する存在、人間=良識を持つ存在、人間=止まることのない時間に支配される存在、人間=虚構・嘘を生きる存在、人間=この世の囚人、人間=気高き存在、人間=自我と超自我を生きる存在、人間=奇跡的な存在、人間=他の惑星、銀河系の存在と交流できる存在(?)・・・・・・・キリがないですね。
*********アクセスが多いようです。文章を読み直すと、表現に妙なところがあり、訂正です。