《ガジュマルの樹の根;ルーツ、系譜、エスノグラフィーのイメージ》
現在《琉球列島の音楽における「声意識」》について研究されているマット・ギランさんの『沖縄文化協会』での研究発表《沖縄の伝統音楽における「声」の伝承と変容》を先日6月27日に沖国大で拝聴させていただいたが、マットさんのご研究は声に焦点を当て、琉球古典音楽、沖縄本島の民謡、八重山民謡、歌劇など、多様なジャンルにおよび、さらに祭祀芸能の現場における声も含めて歴史的な推移、それぞれの境界や類似と違い、声、その発生現場も含めとても興味深い研究である。
欧米式スケジュールの大学にお勤めだから、すでに夏休みに入っているゆえか、歌劇保持者の方々へのインタビューをしたいと、お電話があったので、急遽、八木政男さん、吉田妙子さんにお電話した。また若手で中軸になっている伊良波さゆきさんにコンタクトを取り、マットさんをご紹介した。芸術監督の嘉数さんへのインタビューも将来へのステップだとお話した。
吉田さんは八木さんとご一緒なら応答していいとの返事だったので、昨日急いで八木さんにお電話さしあげたら了解していただき、今日午後およそ2時間ほど桜坂劇場内のカフェーでお話することになった。吉田さんがテンブス那覇で『走れトートーメー』のリハーサルがあり、テンブス劇場の前で待ちあわせしていたのである。
とてもいいお話をお聞きした。謝!八木さんは来る7月4日、沖縄芸能史研究会の大会でも講演されることになっている。「芝居の楽屋話」だとの事でぜひ駆けつける予定。お二人のお話はとても興味深く、マットさんにとっても私にとっても思いがけない発見と再確認の場となった。中味に関しては、マットさんが将来的に一冊にまとめられるであろう書籍や論稿で展開されると思う。わたしは今取り組んでいる研究プロジェクトに生かしたいと考えている。
一地域における『声』のエスノグラフイーの可能性を検証するというマットさんの目標は大きい。イギリスのオックスフォード生まれ育ちで八重山古典民謡で博士論文を書いた方だから、古層から現代に至る琉球弧の『声』の民族誌をしっかりまとめることだろう。楽しみだ。
組踊、琉球古典音楽、民謡、歌劇など、特に今頃琉球音楽について目を向けている者としても、刺激的なインタビューだった。民謡と歌劇の違いが興味深い。地謡の力の大きさが芝居から浮かび上がる。地謡もいっしょに芝居では演じているのである。なるほど!
辻のジュリのお話もまた興味深かった。~たいと語尾に柔らかい口調のジュリの女性たちが存在した近世から近代沖縄である。
吉田妙子さん、八木政男さん 桜坂劇場のすぐ横のホテル、HYATT
《八木政男さんのプロフィール》ウィキピディアより←直接アクセスどうぞ!
- 那覇市泊にて出生。本名は屋宜政雄(やぎ せいゆう)。後に芸名の八木政男を戸籍名とした[1]。
- 1943年 大阪市福島へ渡り[2]、戎座にて大宜味朝良(大宜見小太郎の養父)の舞踊団に入座。[3]
- 1947年 沖縄へ戻り、平良良勝の竹劇団に入座。
- 1949年 大宜味小太郎が創立した大伸座へ入団以後、沖縄芝居の役者として活動[4]。
- 芝居、講演会、放送番組を通じてうちなーぐちの伝承に努める。2014年1月、国立劇場おきなわ開場10周年特別公演の歌舞劇『今日ぬ誇らしゃや』では方言指導を担当。[5]
- 沖縄民謡の太鼓奏者でもあり[6]、嘉手苅林昌、知名定男、大城美佐子のレコーディングに参加。
- 沖縄タイムス芸術選賞、沖縄県文化功労賞、沖縄タイムス文化賞を受賞。
- 2010年春 旭日双光章受賞。[7]。
Research Project Number:26370108
GILLAN Matthew
- 国際基督教大学・教養学部・准教授