湯崎知事のあいさつは以下の通り(備忘録)
湯崎知事のあいさつに対してコメントが動画バージョンYouTubeで読めます。
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本日、被爆78年を迎えるにあたり、原爆犠牲者の御霊(みたま)に、広島県民を代表して謹んで哀悼の誠(まこと)をささげます。そして、今なお後遺症で苦しんでおられる被爆者や、ご遺族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
今、世界では、ロシアによる非道なウクライナ侵攻と核兵器による脅しが続き、北朝鮮は核及びミサイル開発を進め、一部の核保有国が核戦力の大幅な増強を図るなど、核兵器を巡る安全保障環境は厳しくなっています。日本においても、また世界においても、核戦力やその運用の強化を図るべしとの論が声高に叫ばれています。
そうした中、今年5月、ここ平和記念公園に、核兵器国3カ国を含むG7首脳が集まり、資料館を訪問し、被爆者の声に耳を傾け、慰霊碑に献花して犠牲者に哀悼の誠をささげました。
被爆の実相に触れたG7首脳は、世界が、核戦力の強化か、あるいは核軍縮と最終的な廃絶かという2つの分かれ道に直面する中、核軍縮と廃絶の道を選び、広島ビジョンとして力強く宣言し、芳名録に個人的な決意を記しました。G7の、また、同様に招待国の首脳たちの示した決意は、極めて歴史的であり、極めて重いものがあります。
しかしながら、なお世界には、核兵器こそが平和の維持に不可欠であるという、積極的核抑止論の信奉者が存在し、首脳たちの示す目標に向けた意志にかかわらず、核軍縮の歩みを遅らせています。
私は、そのような核抑止論者に問いたい。あなたは、今この瞬間も命を落としている、むこのウクライナの市民に対し、責任を負えるのですか。ウクライナが核兵器を放棄したから侵略を受けているのではありません。ロシアが核兵器を持っているから侵略を止められないのです。核兵器国による非核兵器国への侵略を、止められないという現在の状況は、安定・不安定パラドックスとして、核抑止論から予想されてきたことではないですか。
また、あなたは、万が一、核抑止が破綻した場合、全人類の命、場合によっては地球上の全ての生命に対し責任を負えるのですか。あなたは、世界で核戦争が起こったら、こんなことが起こるとは思わなかった、と肩をすくめるだけなのでしょうか。
核兵器は、存在する限り人類滅亡の可能性をはらんでいる、というのがまぎれもない現実です。その可能性をゼロにするためには、廃絶のほかない、というのも現実なのです。
今、核抑止論者がすべきことは、この現実を直視し、そのような責任は取りきれないことを認め、どんなに厳しい安全保障環境にあろうともどうしたら核軍縮を進め、最終的には核廃絶を実現できるか、そのための知恵の結集と行動に参画することです。
私たちには、次の世代に真の意味で持続可能な未来を残す責任があります。そのためには、すべての核保有国が核兵器を手放すことができるよう従来の安全保障のあり方を見直すとともに、持続可能性の観点から、国際社会の一致した目標として核兵器廃絶を目指さなければなりません。広島県は、日本政府をはじめ、外国政府や国連、市民社会と連携し、そのための取組を進めてまいります。
終わりに、核兵器廃絶を目指して不断の取組を続けてこられた被爆者の皆さまに改めて深く敬意を表するとともに、1日も早い核兵器廃絶の実現を誓い平和のメッセージといたします。