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家に戻って、深夜に、ちねんさんの思い出や「人類館」について思うことを書き記したい。追悼文を書きたい。今から国立劇場へ行かなければー。劇場と社会、この深い人文学の研究が沖縄のどの大学でも提供されないのは、ボスの方々のセンスのなさですね。『人類館』は優れた戯曲であり、文学であり、演劇であり、劇場で演じられるために存在する。ちねんさんが沖縄そのものが「人類館」になってしまったと言い切ったことばのニュアンスを人文系の社会学系の研究者は深く認識し得ていない現実かもしれない。生きるとは演じることであり、この世界は壮大な劇場である。パフォーマティビティの重要さはバトラーさんはじめ多くの思想家が言い始めている。それでも教養の授業でも演劇的空間や演じることの意味性を掘り下げるカリキュラムは提供されないままの沖縄の高等教育現場である。劇場と社会、Performance & Genderなど、講座があってもいいね。比較表象論も劇場論も人文学であり社会学であり、未来学かもしれない。
『人類館』が意味するもの、示唆するもの、イメージするもの、まさにこの囚われの琉球弧そのものである。そこを穿つ視点は演劇的思考や劇場と社会の原初的空間にあるのですよね。でも無視蒙昧な潮流に流されたままの現実なのですね。
一つの作品が突きつける問に100年の時間が凝縮されている、そのことに驚く。2000字から3000字ほど、追悼文を書くことになった。わたしにとっての『人類館』そして≪ちねんせいしん≫さん、こみあげてくるもの、その正体は何だろう。
知念正真
知念 正真(ちねん せいしん、1941年12月4日 - 2013年9月25日)は、沖縄県沖縄市出身の劇作家、演出家。
略歴[編集]
1941年生まれ。沖縄県立コザ高等学校卒業。二松學舍大学中退。
琉球放送勤務を経て、劇団創造に所属する。
1976年に『人類館事件』より発想を得た『人類館』を雑誌『新沖縄文学』33号に発表。1978年に『人類館』で岸田國士戯曲賞を受賞する。
作品
- 人類館(1976年)
- コザ版どん底(1986年)
- コザ版ゴドー(1988年)
- 幻のX調査隊(1997年)
CD
- ASIN B001QM2AFE, 人類館(おきなわおーでぃおぶっく) - 朗読 津嘉山正種
脚注
- ^ 知念正真さん死去 「人類館」作で岸田戯曲賞 71歳 京都新聞 2013年9月26日閲覧