たのしい夢日記

京都奈良寺社巡り・思い出・読んだ本…日々のあれこれを写真と共に。

ジャケット

2007-05-04 17:31:27 | 母の記憶
仕事柄ジャケットは必需品である。

黒が好きなので、どうしても黒・グレー系の物を選んでしまうが、営業上あまり暗い色の服は着ないよう言われている。
特にHP用の写真を撮る時は「明るい色のを!」というお達しがくる。
実際、5月、大阪が一番過ごしやすいさわやかな季節になってみると、グレーのジャケットでも重い気が、確かにする。
よってベルメゾンで(安上がり…)白のジャケットをオーダー


その直後、マイピクチャの整理をしていて気づいた。
若い頃の母が着ていたこのジャケット、今よくあるデザインである。コンパクトでウエストが絞られていて
これはおそらく50年位前の写真である。他の写真も見てみると、ふわっと広がった膝丈のスカートも今よく見かけるのと同じような形。
流行は繰り返すというけれど、まさにそれであろう。

ただ違うのは、母は自分で服を縫っていた、という点。
母の世代には昔洋裁学校に通っていて、縫い物が出来る人が多い。私も随分色々な服を母に作ってもらったものだ
このジャケットも、おそらく母が自分で縫ったに違いない。

母は8人きょうだいの一人である。
裕福でもなく、大学に行けた訳もない。高等教育の代わりに洋裁学校、というのがその頃は普通だったようだ。
母に言わせると、「行ける家だったとしても勉強は嫌いだったし」と笑っていたが。
それでも、私が大学時代テキストを広げていたとき、「いいね、あんたはそんなのが読めて…」と言っていたことがあった。
私が「?」と言う顔をしていると、
「お母さんだって、生まれ変わったら英語をすらすら読めるようになるんだからね!」と言って部屋を出て行った。

なぜかとても良く覚えている出来事である。
私は大学に行かせてもらい、こうして英語も勉強しているけれど、母の若い頃には望むべくもなかった事なんだ、という申し訳なさを感じたから、だろうが、その頃は「そんなん言われても…」(←あっ何となく関西弁??)というのが本音だったかもしれない。

その時の母は今の私より、3歳ばかり上だったはず。
自分も昔の母に近い年になってみて、母がどんな風な感じ方をしていたのか、ということが実感としてわかる事もある。
40も半ばになってみると、体力も気力も落ちてきて色々と「出来ないことが増えてくるんだな」とどこか寂しく感じる。
母もそんな風に感じていたのではないだろうか。

この写真は、私の大学時代と同じ位の年齢のはず、その頃には、母も20年後に自分がどんな事を思うか、などとは想像さえしなかっただろう。
新しいジャケットを縫って、ぴったり体に合った出来栄えに満足し、スカートやパンツとのコーディネートを考え…というところだったに違いない。
きれいな明るい笑顔で、私の好きな写真の一つである。

生まれ変わってきていたとしたら4歳、どこかの「英会話の○ー○○」でキッズクラスにいるかもしれない

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わかる (よっちゃん)
2007-05-06 22:51:32
お久しぶりです~。
そうそう、記憶の中にある母親の年に近づくとそのころの
心情がわかるんですよねぇ。しみじみしちゃいます。

お母様きっと生まれ変わって不思議な縁で繋がりますよ。
何となくそういうのってあるような気がするんです。
返信する
わかる? ()
2007-05-06 23:48:26
>よっちゃん

ひさしぶり~お元気かしら。

よっちゃんはお子さんもいらっしゃるから、ますますわかる、ってとこもあるでしょうね?
よっちゃんが娘さんに感じることと同じようなこと、お母様がよっちゃんに感じてたかも、なんて…。

>お母様きっと生まれ変わって不思議な縁で繋がりますよ。

そうですね。
またきっとどこかで会えるような気がします。
そう思うと楽しみかも。
ありがとうね。
返信する
Unknown (KAO)
2007-05-07 23:19:08
ホントに綺麗なお母様ですね。
紫さんとは違った感じの美人さんですね(^^)
(紫さんはお父様似かしら?
だったらお父様もカッコイイんじゃない?)

私たちの母の年代には勉強は生活の一部どころか
下手をすれば贅沢と言われかねない時代でしたよね。
私の母もよく言ってました。
「勉強できるだけ幸せなんだ、真面目にやんなさい」と。
(そういう自分だって短大まで行かせてもらった筈ですが^^;)

学ぶことに貪欲であるって、今の子供たちには判らないかも知れないです。
歳を取って初めて気付くのでしょうね。
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そうそう (エース)
2007-05-09 00:26:30
私も、母が作っくれた服を着ていました。今となれば、とても贅沢な事だよね。母も若い頃は、ウエストがぎゅっと
締まったワンピースにペチコートをはいて映っている写真を見たことがあります。その頃見た映画に憧れて、自分で作ったと言っていました。その頃は自分で作るしか方法がなかったと。最近、遅い出産をした友人の娘が、私立の幼稚園のお受験に受かったと喜んでいたのも束の間、入園式のオリエンテーションで手提げのバックとお弁当の袋などお母さんの手作りでと言われ、出産よりも大変だった、と言っていたのを、思い出しました・・・
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>KAOさん ()
2007-05-10 19:25:19
ご推察の通り、私は父親似です。しかし残念ながら男前ではありません(^_^;)

40過ぎてから急に「お母さんに似てきたね」と言われるようになりました。年を取ると同性の親のほうに似てくる傾向ってありますよね。

>学ぶことに貪欲であるって、今の子供たちには判らないかも知れないです。
歳を取って初めて気付くのでしょうね。

おっしゃるとおりだと思います。
この「歳を取って初めて」というのが連綿と続くのでしょうね。世代から世代へ…
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>エースさん ()
2007-05-10 19:28:41
>母も若い頃は、ウエストがぎゅっと
締まったワンピースにペチコートをはいて映っている写真を見たことがあります。

ああ、イメージわきますねぇ。
お母様はエースさん同様美人さんだから何でも似合ったことでしょう。
映画を見て、憧れて…というのも私たちの親の世代によくあることですよね。

今の私たちは家庭科でしか縫い物なんてやってないですもんね。手作りの袋でも確かに苦労するでしょうね…。
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Unknown (紫陽花)
2007-05-10 20:22:37
まるで女優さんみたいなお母さんですね!
お手製のジャケットも体にぴったりフィットしていて、
お母さんによくお似合いです。
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>紫陽花さん ()
2007-05-10 23:06:23
いらっしゃいませ。
初コメントありがとうございます。

女優さんとはほめすぎです…確かにきれいな人でしたが…白黒写真ってきれいに見えますよね。
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