昨日の日本農業新聞 e農ネット[農村は今 人口減少社会 2]は「ふるさとを守る 山口県 (2014/8/13)」だった。
内容は以下の通り
山に囲まれた山口県岩国市錦町の三分一集落。
市の中心部から車でおよそ1時間も離れた場所だ。
世帯数はわずか3戸、5人が暮らす。
このうち、最も若い住民が78歳。
他4人は80、90代だ。
病院や買い物に出掛けるには週2回運行するバスを頼るしかない。
・離れ住む子らが協力
数字だけを見ると、集落の存続は数年後には危うくなる。
それでも、集落の水田2ヘクタールには今も青々と水稲が育つ。
農地にはイノシシの防護柵を張り、急傾斜のけい畔や道沿いは丁寧に草刈りをし、初夏にはアジサイが咲く。
「経済効果のある集落ではない。だが、さじを投げてはいかん。離れて住む子や孫に手伝ってもらい、集落をつなごうとしている」。
同集落の中山間地域等直接支払制度の協定代表者で、農家の中村利郎さん(90)は誇らしげな表情を見せる。
・直接支払い活用
同集落は、制度が創設された2000年度に協定を結んだ。
協定には、住民と都会で暮らす息子、娘世代の夫妻が参加。
住民が子どもたちに休日を使って地元に通ってもらい、共同で農作業をするよう頼んだのがきっかけだ。
子どもたちに負担を掛けると悩んだが「集落が消滅する」との危機感から頼み、快諾された。
子ども世代の夫妻のうち、同市内にある林業会社で役員を務める中村さんの長男、信利さん(52)以外は、東京都や広島県など県外に暮らす。
信利さんも集落外にある地域の中心部に家を建てた。
そのため、子どもは週末や夏休みに帰省。
今も同協定締結を更新し、交付金を活用しながら親と子が協力し合い、農地を維持する。
「協定の交付金がなければ集落は今ごろ山になっていた」。
川元定正さん(87)は妻と共に毎日、日が暮れるまで田んぼで働く。
来年、首都圏に住む長男が定年を迎えて帰ってくる予定だ。
農地を引き継ぎたいと願う。
・衰退に歯止めを
日本創成会議は5月、2040年に全国の市町村の半数近い896自治体が消滅する可能性があるとの推計を発表。
東京一極集中に歯止めをかけるため、地方の中枢都市に政策支援を集中するよう求めた提言を出した。
推計は地方自治体に大きな波紋を呼んだ。
7月に東京で開かれた中山間地域の研究者や自治体関係者300人以上が集まったフォーラムでは「どうせ消滅するのだからという諦めが広がっていく」などと危険性を訴える声が続出。
東京大学の佐藤洋平名誉教授は「農山村はいらないとする方向性の下、今後、さまざまな施策が立案されていく可能性が高い」と警鐘を鳴らす。
明確に不要とする主張が打ち出されなくても中枢都市に予算を集中し、結果、周辺の集落が衰えていく流れが加速するとみる。
「時代の流れや経済効率が悪いからと言って農村を切り捨てるのはおかしい。農村がなくなれば日本じゃなくなる」。
信利さんは思いを募らす。
かつては都会に憧れ、農村出身であることに劣等感を抱いていた。
だが、50歳を過ぎて少しずつ、米作りやふるさとを守る大切さに思いをはせるようになったのだという。
最近は酒造好適米などの栽培にも挑戦。
小規模でも消費者や企業の注目を集める稲作の在り方を探る。
具体的な成果はまだ見えない。
きれいごとでは解決しないのは分かっている。
それでも「集落を消滅させない」。
覚悟を決めている。
というもの。
山奥であればあるほど、村は確実に消えていくだろう。
なぜなら消費者には、奇麗な観光地というイメージはあっても、生活するというイメージは無いからだ。
時々来てもらうという計画なら立てられると思うが、やはり村は消えていくだけだろう。
その地域で生活してもらうための対策は、時既に遅いと思える。
子供が減ったと感じた時から、村は消え始めていたのだから。