薬丸 岳 刑事のまなざし/湊 かなえ 贖罪

7月に入り、立て続けに2冊読んだのでまとめてご紹介。

薬丸 岳　刑事のまなざし
犯罪もの・刑事ものを得意とする、薬丸作品ですが
法律の盲点や弱点に真っ向から挑んだ切り口が特徴だった、これまで読んできたものと違い
これは犯してしまった犯罪の裏側にある、人間の心の葛藤や大切な人とのつながりに焦点を当てた
罪を憎んで人を憎まずという考え方が前面に押し出された、人情ものサスペンスミステリーです。

あらすじ・・・

少年と向かい合うことを望み法務技官になった夏目が、十年前に娘が襲われた事件をきっかけに刑事になった。
通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。
虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。
社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。
そんな刑事が自分の過去と戦いながら、独自の視点で事件を解決していく7つの短編集・・・

普通の人の普通のくらしの中に、時として起きてしまった殺人
大切な家族や友人を守るためであったり、逆に自分を守るために家族や仲間を殺めてしまう
そんな悲しい殺人事件に、周囲の悲喜こもごもを織り込んで
世の中で一番刑事が似合わないであろう夏目が、独特の勘を頼りにやさしくも厳しく犯罪に立ち向かって行く姿と
夏目の辛い過去が織り交ぜられて、そして最後にすべてが繋がります。

短編集であるのと、夏目の人柄に癒されるのとで
すんなりと読みやすいミステリーで、時折涙が滲んで来たり・・します。


湊 かなえ　贖罪
特に意図があって、この2冊を選んだわけではないのですが　
こちらは　刑事のまなざし　とはまるで真逆の、人に対する究極の恨みのストーリー。

あらすじ・・・

15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。
直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの
なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
娘を喪った母親は彼女たちに言った──あなたたちを絶対に許さない。
必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。
十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?

小学生の時に友達を殺された、4人の女性の15年後・・・
それぞれの女性が一章ずつ担当し、事件からこれまでの自分の境遇や心の葛藤を語りながら物語が展開していきます。
怖いです、ゾッとします、まさかと思う以上のことが起こります。
生々しさに背中が寒くなりますが、不思議と先が気になってどんどん読めます。
そして真実は・・・・？

これはWOWOWでドラマ化されたようで、8月にはDVDでも登場するみたい。
小説では真実がぼかされている箇所も、ドラマでははっきりとストーリーに盛り込まれているとのこと。
すごく気になるので、そちらも観てみたいと思いました。

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