nobara*note

くらしの中にアンテナをいっぱい張って日々のお気に入りを主婦の目で綴ります、目指すは雑貨屋さん的ブログ♪

江上剛 慟哭の家

2016-05-06 16:52:47 | 本・雑誌・ドラマ
江上剛さんの 慟哭の家 を読みました。
金融ものでおなじみの江上さんですが、こちらはちょっと毛色の違う社会派作品で
フィクションながら、ルポルタージュ風の内容になっています。

あらすじ・・・・(「BOOK」データベースより)
妻と障害を抱えた息子を殺し、自殺を図るも生き残った一人の男。
複雑な家庭環境ゆえの無理心中として同情が集まる中、男は強硬に自らの死刑を望む。
弁護を引き受けることになった長嶋駿斗は、接見を重ねるごとに、この事件への疑問を抱き始める。
「愛しているから、殺しました」。この言葉に真実はあるのか。

主人公は、幼少期から虐待を受けて愛情不足で育ったという設定。
ようやく持てた自分の家庭も、ダウン症の息子が生まれたことで、希望とは違う方向に進みます。
病弱な自分の身体を考え、28歳になったダウン症の息子の将来を悲観する妻。
早期退職をして家庭に入った主人公は、知的障害の息子の日常生活に戸惑い
いかに息子が妻と一体であったか、自分が子育てに関わってこなかったのかを知ることになります。
妻の懇願もあって二人を殺しますが、自分は死にきれず、無理心中に失敗。
とにかくテーマが重たい上に、ある意味実際に起こった事件をなぞったような淡々としたストーリー。
障害児にかかわる施設や同じ立場の親たちの、事件に対する感想や主人公への思いなども描かれ
障害児を育てる厳しさはひしひしと伝わってくるのですが、殺してしまっている以上
どんなに反省しようと、どんなに責められようと、時計を戻すことは不可能だし
あまりにも投げかけられたものが大きく、最後まで重たいままで
目を背けてはいけないことだと思いつつも、個人的に答えを出すことも、自分に置き換えることもできませんでした。

慟哭の家 [ 江上剛 ]価格:864円(税込、送料無料)


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