MONAのフォト・ギャラリー

写楽・・話楽・・・な日々

時を超えて

2007-02-01 22:50:39 | その他
木曽駒ケ岳で行方不明になっていた「風さん」は、2日前に発見されました。
今日、大好きだった山の麓で、愛する奥様ろみさんと子供たちに囲まれ、荼毘に付されました。

風さんの為にも、ろみさんのためにも、早く見つかって良かったと安堵したのですが・・・
今、ろみさんの辛い気持ちを想って、涙がこぼれます。

子供の頃、ギリシャ神話で読んだ「オルフェウス」の話をふと思い出しました。
竪琴の名手オルフェウスは、美しいエウリュディケと結婚し、幸せでした。
ところが、エウリュディケは毒蛇に噛まれ死んでしまいます。
オルフェウスは、黄泉の国の王ハデスのもとに行き、エウリュディケを返してほしいと願います。
オルフェウスの美しい竪琴の音色に心を動かされ、ハデスは条件をつけ、許します。
それは、地上に着くまで、決して振り返ってはいけないということ。
長い暗い道のりを二人は歩き、もう直ぐ地上に着くというその時、オルフェウスは、自分の後ろにエウリュディケがいるのだろうかと不安になり、振り返ってしまいます。
たちまち、エウリュディケは、黄泉の国に吸い込まれるように消えてしまいました。


神話はいろいろな意味を持っているので、角度を変えると、また全体が違って見えてきます。
子供の頃は、そのままに受け止めていました。
今、この話を思い出したのは、こういう事を伝えているのかもしれないなと思うのです。

愛する人をもう一度取り戻したいという気持ちは、誰でも同じです。
冷たくなった亡骸を前に、冷厳な死の事実を受けとめ、死者として決別しなければならない後の喪失感。
いろいろな感情がせめぎ合い、亡くなった人の輪郭もはっきりと掴めない、暗い長いトンネルのような日々。
それでも、かすかに前方に見える地上の光をめざして、立ち止まることなく、愛する人が一緒にいることを信じて、後ろを振り返ることなく、前に進みなさい。
そして、ある日、地上の光の中に出た時、愛する人が直ぐそばにいる事に気がつくでしょう。
生きていた時よりも、その人の魂がくっきりした輪郭を持って・・・





コメント
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