今にも また降り出しそうな 厚い雲
夕方 図書館に本を返そうと 出かける頃に
急に 外が明るくなってきた
日は もう 落ちてしまったのか
残照が
何層にも 低くたなびく雲を
放射状に一面に広がる うろこ雲を
鮮やかな 色遣いで 染め上げていく
誰もが 足を止め 空を 見上げている
カメラを 空に向けるひと
黙って 仰ぎ見るひと
子どもと手をつなぎながら
仕事仲間と
若い学生たちも
みんな 茜色に包まれていく
心の中まで 沁み込むような色は
やがて 紫色から 薄墨色へ
見る見るうちに
川面も 夕闇へと 沈んでいった
