「 ううっ・・ さぶ 」
昨日は すっかり春になったかと思ったのに
今日は 一歩 冬に後退
そんな早春の林の中を ハナアブの「ブン太」は 羽をふるわせて飛んでいた
すると 枯葉のつもった地面の上に
まるで お日さまの光がこぼれ落ちたように輝いているものに 目に留まった
「 なんだろう? 」
近づくと 「 暖カフェ 福寿草 」という ウェルカムボードが・・・
「『 暖カフェ 』 か・・ いいなぁ~ 」
ブン太は 入って ひと休みすることにした
カフェの中は ぽっかぽか! まるで 南の島のよう
「 いらっしゃいませ 」
福寿草マスターが メニューを持ってきた
といっても それには「 自家製 最高級の花粉 」と書かれてあるだけ
「 蜜はないの? 」
「 はい 蜜はございません でも 花粉は食べ放題でございます 」
どうやら 蜜をつくるのは手がかかるので 出すものは花粉だけにしているらしい
「 ここ あったかだね!」
「 当カフェは 究極のソーラーシステム なんです 」
カフェの黄色が 光を効率よく集めるし
開店時間も 閉店時間も お日さまの動きに合わせていると マスターは鼻高々!
おまけに お日さまが顔を出さない日は 休むそうで・・・
こんな営業 あり?
それに このカフェ 葉を落とした林の中で 春先に 店開きをし
「 お日さま燦々 」を売りものに お客をいっぱい呼び込み
先ずは 来年度開店準備のための 種をつくる
( 長期経営計画が しっかりしているでしょ? )
そして 林の木の葉が茂るまでに 葉を出して 光合成で 養分をいっぱい根に蓄える
そして 夏の前には 稼ぎは充分できて
あとは すっかり店を閉め 翌春先まで 眠ってくらす
という 賢い生き方をしてます
そうそう 種には 「 エライオソーム」という物質が付いていて
それに 引き寄せられた蟻が 種を運びます
なんて なんて 賢い福寿草でしょう