千恵子さんは 「語りの会」で 何度かご一緒してる 沖縄出身の方です
千恵子さんが 沖縄の言葉で ゆったりとした口調で話すと
戦争にまつわるつらい話も 背筋がゾクッとする昔話も
なんだか海の底で 波のゆりかごに揺られて おはなしを聴いているような
穏やかな気分になってしまいます
ある時 徴兵されたお父さんが 家に戻ってきた時の話をされたことがありました
死んでしまったのではないかと 誰もが思っていたお父さんが
戦後 ひょこりと 無事に帰ってきたのです
その時の みんなの喜びよう!
千恵子さんは お父さんの膝の上に座って 嬉しくて 嬉しくて・・
というのが お父さんに関する 強烈な そして最初の記憶だったそうです
お父さんが着ていた軍服は 見つからないように処分されました
お父さんは 数年前に亡くなられましたが
実家の押入れの行李の中を整理していると お母さんの着物の下から出て来たそうです
その軍服をみて その時の記憶が 鮮やかに蘇ったと語られていました
でもね・・・
と 千恵子さんは 話を続けます
「 お父さんは 無事に帰って来たけれど 夜眠っていると 夢にうなされて 飛び起きるんだよね
毎晩 毎晩・・
だから 庭の鬼門の方角に 南天の木を植えた
邪気を払うように
それでも お父さんは 安らかに眠れるようにはならなかった 」
「 お父さんは 言っていた
『 日本兵は 世界で一番残酷な 兵隊だ 』 って 」
先日の記事「 英雄たちの選択 沖縄戦 」 を書いていて
千恵子さんのお話が 史実と重なりました
戦争は 生き残った人たちにも 生涯消えることのない苦しみを残します
*** 写真は トロロアオイの花 ***