一昨日(18日)は、新装成った“フェスティバルホール”の、待ちに待った≪こけら落としコンサート≫だった。
このところ、新フェスティバルホールでは、さまざまな「こけら落とし公演」が行われているが、私たち(Kさんと私)が行ったのは、下の写真のコンサート。
私たちは以前から、辻井伸行君のピアノを聴きたいと、コンサートがある度にチケットの購入を試みていたが、その都度売り切れで、行く機会を逃して
いた。
佐渡裕さんの指揮も、かねてより、ぜひナマで見たいと思っていた。
そういう折も折、新フェスティバルホールのこけら落とし公演の中に、「佐渡裕指揮・辻井伸行ピアノ演奏」のコンサートがあることを知った。
新装フェスティバルホールにも早く行ってみたいし、これは願ってもないイイ機会だと、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、高いチケットを購入したの
だった。
(それがいつだったかはもう忘れてしまったが、とにかくずいぶん前の事だ。)
そして、やっと、そのコンサートの日がやってきた。
初めの予定では、その日はゆとりを持って出掛け、コンサート前に、新しいフェスティバルホールをアチコチ探検しようと思っていた。
でも、いつもの習いで、そんなに早くは行けず、探検は諦めざるを得なかった。
新装成った、フェスティバルホールの玄関。
玄関を入ると、レッドカーペットを敷いた階段が、人々を、上の階のコンサートホール入り口へと、誘う。
ふかふかのレッドカーペットの上を歩くと、なんか、とってもゴージャスな気分になってくる。 (写真はピンボケで残念!)
入り口で係りの人にチケットを見せたあと、今度は緩やかなエスカレーターに乗って、5階に上がる。
そこが、コンサートホールの1階席の入り口だ。
入り口付近の天井には、イルミネーションが施されていて、なかなかいい感じだった。
ホール内部は、赤を基調にした、ゴージャスな造りになっている。
出来たら写真に撮りたかったが、やっぱりダメ。
私は、隠し撮りをしたい気持ちを、グッとこらえた。
(代わりに、前にテレビで映していたのを、写真に撮っておいたので、それを載せさせていただきます。)
(舞台から観客席を写したもの)
初めにも書いたが、今回のコンサートは、佐渡裕さんの指揮。
ピアノは、辻井伸行君だ。
管弦楽は、イギリスBBCフィルハーモニック。
今回のプログラムは、右下の写真のとおり。
(ブリテンの曲は知らなかったが、チャイコフスキーの『ピアノ協奏曲』&ドヴォルザークの『新世界』は、馴染みの曲で楽しみだった。)
実は今回のコンサートは、2年前に、同じメンバー・同じプログラムで行われていた、日本ツアーの再現なのだそうだ。
2年前、(佐渡裕さん率いる)今回と同じコンサートが、全国を廻って行われていた。
正にそのとき、あの大震災が起こったのだ。
コンサートは、後半のツアーを残して、やむなく中止‥。
BBCフィルハーモニックのメンバーは、帰国を余儀なくされた。
東日本大震災が、音楽家(だけではないが)に与えた衝撃・苦悩は、計り知れない。
あの惨状を前にして、音楽家にいったい何ができるのか!?
そう自問し、答えが容易に得られない中、無力感・絶望感に苛まれたと、いろんな音楽家の方が言われていた。
佐渡さんも、その一人。
否、むしろ、ツアーの真っ只中で震災に遭遇し、ツアーを中止せざるを得なかった彼にとっては、その想いはより強かったに違いない。
彼はしばらく放心状態だったと語られていたが、でも、程なく再び立ち上がられた。
≪音楽の力≫を信じ、被災地の復興を願って、各地でチャリティーコンサートを開いていかれた。
その彼が、どうしてもやらなければいけない、やりたい!と思われていたのが、震災で中止せざるを得なかった、あのコンサートだった。
彼はBBCと再び交渉され、辻井君にも声を掛けて、今回のコンサートツアーを実現された。
だから今回のコンサートは、≪フ ェスティバルホールのこけら落とし公演≫の一つであると同時に、『被災地の復興を願う、熱い思いの込もったコンサ
ート』でもあった。
私は、このコンサートに参加できて、本当によかったと思っている。
音楽はもちろん、素晴らしかった。
(BBCのハーモニーは、それは見事だったし、辻井君のピアノも迫力があった。)
加えて、今回のコンサートを通じて、佐渡さんの、復興を願う熱い想いに直接触れることができ、私も又想いを新たにすることができたから。