22日の「日曜美術館」で取り上げられた<大原治雄>氏の下の写真を見たとき、私はその斬新さに驚きを禁じ得なかった。
そしてその斬新さの質が、私の大好きな写真家の一人・<植田正治>氏と、すごく似通っているのにも驚いた。
私は大原氏の上の写真を見たとき、すぐに植田氏が、鳥取砂丘に家族や人々を配置して撮った、前衛的な演出写真を思い出した。
二人には何か接点があったのだろうか?
<大原治雄>氏(1909~1999)と<植田正治>氏(1913~2000)は、年代的にはほぼ同時代人と言える。
しかし、植田氏は鳥取の人で、鳥取を舞台に写真を撮っていた。
それに対して大原氏は高知県の出身。 17歳で移民としてブラジルに渡り、原生林を開拓してコーヒー栽培に取り組んでいた。
どう考えても、二人に直接的な接点があったとは思えない。
ということは、日本とブラジルで、二つの才能が、期せずして同時的に花開いたということなのだろうか?
大原氏が写真に興味を持ち始めたのは、現地で結婚した(24歳)後だと言う。
彼はお金を貯めて28歳の時やっとカメラを購入し、独学で写真を学び、コーヒー農園で働く人や家族を、精力的に撮り始めた。
しかもその写真は、植田氏と同じく、人物の配置などを様々に演出して撮ったものだった。
「一服」
次は、12個の大小のタライを重ねて撮ったという、「渦」という写真。 (なんという斬新さ!)
最後に、金婚式の前日に撮ったという夫婦の写真(セルフポートレイト)と、晩年近い大原氏の写真。