のんスケの‥行き当たりバッタリ!

ぐうたら人生を送ってきた私が、この歳になって感じる、喜び、幸せ、感動、時に怒りなどを、自由に書いていきたいと思います。

祈りの彫刻家‥舟越保武氏の世界

2011-11-06 17:52:13 | NHKテレビ「日曜美術館」

 先週の「日曜美術館」では、「やさしさ 静けさ そして強さ~彫刻家 舟越保武の世界~」と題して、岩手出身の彫刻家、舟越保武氏を取り上げてい

ました。

 舟越保武さんの彫刻は、長崎・西坂公園の「長崎26殉教者記念像」を、若い頃長崎に行った折見たくらいで、あとはあまり知りませんでした。

 今回の番組で、舟越彫刻に込められた、人間に対するやさしさ、聖なるものへの希求、苦しんでいる者への深い慈しみと祈り…などを強く感じました。

 

                ←舟越保武氏 岩手県出身 1912~2002

 

 今回紹介されていた作品の中から、特に私の心に響いたものを写真でブログ上に残したいと思います。

 まずは、 岩手県立美術館の正面にすっくと立っている女性像から。(1977年)

                         

 

 作品「LoLa」 (1972年) 2歳のとき亡くした母の面影が感じられるという。

                         

 

 自らもクリスチャンであった作者が、自分の通っていた教会の為に作ったキリスト像。

 磔刑の苦しみを乗り越えて昇天する、キリストの表情がなんとも穏やかで美しい。

                      

                      

 

 そして、長崎市 西崎公園に、依頼を受けて造った「殉教者記念像」 (1962年)

                     

                     

 この像をつくる時、依頼者からは、残虐に殺された姿をそのまま描いてほしいという事だったが、舟越氏はそれを退け、殉教者たちの神々しさを表現

しようとしたという。

 そして殉教者一人一人について詳しく調べ、デッサンを繰り返して像をつくっていったという。

                     

                                   

 

 続いて、「ダミアン神父」の像(1975年)。  ダミアン神父は、19世紀後半のベルギー人で、ハンセン病の患者を救うため、自らも病魔におかされな

がら、救済活動を続けた人。

                           

 

 1986年には、大理石の「聖ベロニカ」の像。

 ベロニカは、貧しい少女ながら、キリスト磔刑の折、ただ一人、キリストの血と汗を優しくぬぐったという。

                    

 

 着実に制作を続けられていた彼を、大きな不幸が襲った。1987年脳梗塞に倒れ、右手の自由を失い、一時的に右側の視野も欠けてしまった。

 それでも彼は左手でデッサンの練習をし、左手だけで、彫刻の制作を続けた。

                    

                             

 

 そして、1988年には、ブロンズ像「サルビア」を、初めて左手だけで作り上げた。

                  

続いて、キリストをあらわしたと言われる「ゴルゴダ」と「ゴルゴダⅡ」を制作。

                  

 この「ゴルゴダⅡ」について、息子で同じく彫刻家の舟越桂氏は、「父はこの作品をつくるために右手の自由を失ったのではないか‥と思うくらい、素

晴らしい作品」 と言われている。「この作品を見た時、自分は永久に父を越えられないのではないか?という不安を感じた」とも。            

 ともあれ、人間への深い愛に貫かれた、舟越さんの作品に、私の心は、あたたかく切なく満たされました。

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿