ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第8回狩野川薪能(その5~番組ができました)

2007-06-17 22:57:27 | 能楽

ををっ、ついに出来上がりました!狩野川薪能のチラシとポスター!

昨日は「子ども創作能」の稽古のために、久しぶりに伊豆の国市を訪れてきました。月に二回の稽古は ぬえはコンスタントに伊豆に通ってはいるのですが、建長寺の催しがあったり『春日龍神』の稽古をしたり、でなかなか日が取れず今回は3週間ぶりの訪問になりました。

いやいや~。やっぱり子どもたちはやっぱり覚えが早いや。そんで、声は小さいや。。(^◇^;)
これまでの稽古で子どもたちも だいたい型は固まってきたので、昨日の稽古ではともかく声を出させることを ぬえは目標にしていました。どうも型の稽古と本末転倒なような気もするが、これまではまず型を覚えてもらうこと、謡の節を覚えてもらう事で精一杯だったものですから。。声の調子を高く取ること、囃子のかけ声や楽器の音に負けない声を出すこと。案外ここらへんの稽古が一番難しかったりします。

今月末には地元の小学校で、薪能前の唯一の発表会が行われます。これは薪能の実行委員会の方々が毎年企画してくださるもので、地元の小学生を対象に「古典芸能教室」というものを開催して、能楽師が能のワークショップを行うのに併せて、そこでこの「子ども創作能」も上演されるのです。稽古の始めの頃は良くできていた子が、安心してしまって段々と稽古に身が入らなくなってこの日に大失敗をしたり、度胸のなかった子が初めて人前で演じる事の楽しさを知ったり。。こうして彼らは夏休みの薪能出演という大舞台に向かって進んでゆくのです。薪能では有料の催しに出演するのですから、舞台人としての責任、というものも それなりには生じてきます。その覚悟が「古典芸能教室」で培われるといいな、と思っています。

今回の狩野川薪能では、子ども創作能『江間の小四郎 ~安千代と大蛇~』のほかに、中学生による仕舞『東方朔』、中学生と小学生合同で演奏する連管『破之舞』が上演されます。これら地元の子どもたちによる番組が薪能の【第一部】で、続いての【第二部】が ぬえら能楽師による演能となっています。

今年の上演曲目は 三宅右矩さんの狂言『雷』と、そのあとに ぬえが能『一角仙人』を勤めさせて頂きます。狩野川薪能で上演される玄人の能には 毎年子方が出演する曲を選んでいまして、その子方もやはり地元の子どもたちの中から選抜するのです。今年の『一角仙人』では子方の役として龍神が二人登場します。観世流ではこの役はツレとして大人が勤める場合の方が多いのですが、それほど動きが激しくて、子方の役としては格別に難しいのですが。。ところが今年、ぬえは伊豆の国市で「出来すぎ子方」2名を発掘してしまった!

う~ん、そこまで舞えるのかあ。それじゃ、ってんで、もう一つ型を変えて難しくしてみました。(^^ゞ
昨日彼女たちに「あのね、型を変えるから」と言ったら「えええぇぇ~~っ、今さら。。」と言っていましたが、大丈夫、キミたちなら出来るよ。もちろん今月の「古典芸能教室」には稽古が間に合わないから、それが終わってから薪能に向けて改めて稽古を積み重ねていきます。ああ、薪能が楽しみだ!

ぬえの会サイトの方にも情報をアップしておきました。
※建長寺巨福能の写真多数もサイトにアップしてあります。よろしければご覧になってくださいまし~