ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

インターナショナル邦楽の集い

2008-04-13 02:35:02 | 能楽
本年6月1日(日)、ぬえもずう~~っとお手伝いしている「インターナショナル邦楽の集い」が開催されます。なかなか興味深い催しなので、一度足をお運び頂けるとうれしいです。

この催しは長唄の発表会、というのが主立った内容なのですが、三味線や鼓などを演奏するのは日本に留学したり在住している外国人、というところが面白い催しです。ボランティアで外国人に長唄の三味線を教えておられる「代田インターナショナル長唄会」。。と言っても事実上 三味線の先生の西村真琴さんひとりの団体ですが、そこが主催しての生徒さんの発表会。まあ。。滞在期間の制約があって1年程度の稽古経験で舞台に立つ生徒さんも多いのですが、そこはそれ、日本人の演奏家がバックアップして、長唄のことはよくわからない ぬえから見ても、全体的には結構見られる演奏会に仕上がっている催しだと思います。

さて、そのような短期間の稽古しか積んでいない外国人の生徒さんのなかには、それでも 驚くような才能を秘めた方はあるわけで。これはいつも ぬえは感心するんですが、洋の東西を問わず、文化も、それに携わるためのテクニックも、簡単に身につけちゃう人ってのはいるんですよねえ。そのような方。。つまり西村さんから三味線の稽古を受けながら、なお余力を持っている人から希望者を募って ぬえがやはりボランティアで仕舞を教えております。そしてだいたい半年間、仕舞の稽古を積んで、いよいよその成果を発表する機会がめぐってきたわけです。仕舞を教えている感触では、外国人にとっては型そのものよりも、日本語でシテ謡を謡うのが難しいみたいね。(^_^;

それと面白いのは、外国人はみ~んな「下居」。。すなわち片膝をついて座る仕舞の最初の構エ。。これが苦痛らしいんですよね~。これは ぬえが外国で教えているときは米国でもヨーロッパでも感じたことで、生徒さんは皆さん、この最初のポーズからすでに苦痛を訴えてきました。ん~~?正座ができないのは当たり前としても、下居までつらいんか! 最近はイスばかりの生活に慣れてしまった日本人も要注意かも。。

それでもやはり三味線の稽古のほかにまだ余力を残している生徒さんだけが仕舞の稽古をするわけで、中には日本人のように、いや、あるいはそれ以上によく出来る人もおります。やっぱり才能ってのは、宿る人には宿るものなんですね~。

この催し、ぬえは彼ら生徒さんの仕舞を地謡としてサポートし、またチビぬえも豆ぬえも仕舞で出演します。そして ぬえ自身も番外仕舞として『弱法師』を勤めて彼らを応援!!

どうぞお誘い合わせの上ご来場をお待ち申し上げております。m(__)m

インターナショナル邦楽の集い

2008年6月1日(日) 開場2時30分 開演3時
梅若能楽学院 (JR総武線、地下鉄大江戸線 東中野駅徒歩7分)

     

または(地下鉄丸の内線、大江戸線 中野坂上駅徒歩7分)

     

【番組】

 長唄 雛鶴三番叟/いきおい/蜘蛛の拍子舞/元禄花見踊り  
 箏曲アンサンブル 夢の輪ほか Curtis Patterson(箏) /Bruce Huebner(尺八)
 仕舞 蝉丸/松虫クセ ぬえ社中
 仕舞 玄象 Matt Stern(カナダ)
    葵上 Kelley Comfort(カナダ)
    羽衣キリ Dana Buck(アメリカ)
    小督キリ Pennie Huang Tovar(アメリカ)
    小袖曽我 豊嶋正己(日本)Joseph White(ニュージーランド)
 仕舞 猩々 豆ぬえ
    嵐山 チビぬえ
 仕舞 弱法師   ぬえ
 笛一管      福原寛

入場料 3,000円(当日3,500円)
主催:代田インターナショナル長唄会

プロの長唄の囃子方のリードに頼りながらも、多くの外国人が演奏する長唄は なかなか壮観です。また日本国中で演奏活動をしている箏のカーティス・パターソンさん、尺八のブルース・ヒューブナーさんの合奏は毎年とっても素晴らしく、コンサートに彩りを添えています。

終演後には打ち上げパーティがあるんですが、さすが外国人ノリ! 毎年朝まで大騒ぎ~~ それが楽しみで ぬえ、ボランティアで教えているんだったりして。