ついかかっていたTVのチャンネルを握ってしまい、そんな遅くまで見るつもりはありませんでしたが、最後まで見てしまい、時計を見れば2:00でした。
自然とともにある幸せ
消火部隊を率いる都会育ちの隊長がタイガの森に配属されてから35年、その間、ソ連崩壊を経て予算は1/3、給与も激減、人員も半分になる一方、火災は温暖化の影響で3倍。
次々と発生する火災の鎮火に追われ、1週間、10日と現場でキャンプしながら極限の作業。
40人いた隊員は、ソ連崩壊を経て今も残るのは2人だけ。
それでも残っているのは?と聞かれ、「自然の中にいられるから幸せ」との答え。響きました。
幸福は質的なもの
09年に放送されたドキュメンタリーの再放送、“出動 空飛ぶ消防士~シベリア大火災に挑む”、地球の22%を占めるシベリアの森林を命懸けで火災から守る消防士たち、心に染みる番組でした。
ドキュメンタリー終了後、哲学者の岸見一郎先生の仰った「幸福は、量的なものではなく質的なもの」という言葉は深く印象に残るものでした。
国民も社会も、こぞって成功を求めようとする世相であり、それは、往々にして幸福観を量的なものとして捉えてしまう意識ではないかとの見立てだと受け取りました。
合気道の始祖、植芝盛平翁の言葉に「合氣とは、敵と闘い、敵を破る術ではない。世界を和合させ、人類を一家たらしめる道である」とあり、合気道は勝ち負けをつけないと聞きます。
岸見先生の言葉を聞き、植芝盛平翁のことを思い出しました。
人は、得てして物事を勝ち負けで捉えようとします。病気の捉え方も一緒かもしれませんね。
幸福を“質的なもの”として身体に落とし込むには、感性を高めたり直観力を研ぎ澄ますことが必要なのかなあと思いますが、この隊長のように“自然の中に身を置く”ことは人の潜在力を拓く大きな力になるのではないでしょうか。
※シベリアの森林火災の写真は、RIA Novostiのニュース写真を転載しました。