しわくちゃを映す鏡を持たぬときわれは二十歳よ 二十歳が歩く 薬王華蔵
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だよなあ。肉体が老体なのであって、精神体は、なにも肉体の後を追うことはない。ないはずである。悪いのは鏡だ。わたしの許可も得ずに、しわくちゃを映している鏡だ。
わたしは二十歳としておく。永遠の二十歳としておく。その気取りをしてわたしを歩かせる。空から降るのはやわらかな冬の光。つやつやして、光輝かせて村里を歩かせる。
村里の小径に咲き誇っているのは赤紫のホトケノザ。ホトケノザに年齢はあるのだろうか。それにしてもタフだなあ。霜が下りても、その隆盛ぶりにいささかの変化もない。