1
処罰なんて恐いテーマを掲げてしまった。うううん、そんなことを問える力量はないのに。あるふりをしてしまった。
2
後味悪し。
3
切り替えよう。
4
やっぱり恋がいい。ロマンチックなのがいい。人が人を恋う。これがいい。憎まずに恋慕する。相手のよさに心酔する。誉め讃える。うっとりする。忘我境になる。痘痕も靨に見えて来る。美しい美しいを貫く。これがいい。
5
☆
あかねさす紫野(むらさきぬ)行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る 額田王(ぬかだのおおきみ)
6
☆
お慕わしいお慕わしいあなたが、紫草を栽培する栽培地の標野(しめの)を巡回して回られておられますが、その時ですらも、あなたはわたしをご覧になって袖を振ってくださいます。此処には御料地を守る役人が大勢います。二人の秘密を嗅ぎ付けられたらどうしましょう。そう思いながらも、わたしもあなたにいつのまにか袖を振っているのです。お慕わしいあなたさまに。
7
☆
「あかねさす」は「紫」に掛かる枕詞。染料の原料になる紫草を栽培しているところが標野。蒲生野の里。此処には出入りが禁じられていたらしい。その番人をしていたのが野守である。
8
☆
額田王は最初、大海人皇子(おおあまのみこ=後の天武天皇)に嫁ぎ、十市皇女(といちのひめみこ)をもうけられたが、その後、兄である天智天皇の寵愛を得た。額田王は恋多き女性である。二人の天皇に愛された方である。
9
わたしもまた恋多き一生を送りたかったのだが、今生ではこれは叶わなかった。微量をも。来世を待つとしよう。