2時間かけて、嬉野温泉シーボルトの湯に来ました。玄関先に駐車ができました。障害者入浴料金は320円でした。2階の休憩室はがらんとしています。お茶も用意してあります。ゆっくり読書ができそうです。でも、これからぬるぬるの湯に入ります。
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其功徳法門普ねく、無尽法界に充満弥綸せらん。哀れみを我に分布すべし。
曹洞宗経典 修証義 第二章 懺悔滅罪より
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その功徳の法門は普(あまね)くして、無尽法界に充満し弥綸(みりん)せらん。哀れみを我に分布すべし。
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(ただただ無学のわたしの無茶苦茶流解釈をしてみます)
仏道は仏さまの功徳の法門であります。わたしたちに功徳を差し上げてくださるところであります。この仏さまの功徳は広大無辺、尽きるところがありません。満ち満ちて行き渡っています。仏さまの功徳がわたしたちに分け与えられているところであります。わたしたちがする懺悔も滅罪も、仏さまの功徳に負うところです。
4
ああ、よかった、と思います。仏さまは差別をなさいません。みな平等に扱われています。仏さまの功徳のハタラキも無差別平等です。ああ、よかったなあと思います。わたしの力の及ばないところにも充満して行き渡っています。ああ、よかったなあ、と思います。
5
よかったなあ、ばっかりで過ごしていられます。であるのに、よいことなんて何一つしていません。よいことなんで何一つしていないのに、わたしに春の大空を見せていて下さっています。
1
77歳になったらおんなの人を好きになってはいけないか。いけない。枯れきっていなければならない。
2
好き嫌いは若い内にするもの。とうに卒業していなければならない。人生に達観していなければならない。
3
それがそうならない。達観できていない。低い低い位置に止まっている。お粗末だなあと思う。
4
しかたがない。害がない絵を描くことにする。おんなの人をクレヨン画で描く。美しいおんなの人にして描く。描いてあたたまる。冷たいこころがあたたまる。
5
これだったら自慰行為だ。他者を巻き込むことはない。軽蔑を避けられるだろう。
6
好きなおんなの人がいるわけがない。いない。いないでいい。想像の世界で遊んでいるだけでいい。
7
人の世は寂しい。寂しいところだ。77歳になったところで寂しさがなくなっているわけではない。それどころか、いっそう募っている。
手が冷たい。手の指先が冷たい。炬燵の中に突っ込む。尻の下に敷く。しばらくそうやって温める。温まったところで外に出すと、すぐにまたもとも冷たさに戻る。入れたり出したりする。パソコンのキーが打てない。窓の外の、隣家の屋根瓦が霜ペンキで塗り潰されている。
春のようにあたたかなあの人に会いたい、会ってあたたまりたい、世の中を春にしていたい、だなんて77歳になったお爺さんの言う台詞じゃないなあ。だよなあ。じゃ、いつものように一人に耐えるしかない。冷たさに馴染んでいるよりない。いつもしていることだ。耐えられるはず。