雪が小降りになりました。静かです。穏やかです。
*
お爺さんは炬燵の中。手袋をしています。
*
手袋は手を寒さから防いでくれます。有り難いです。
*
窓の外に見えるのは隣家の白い雪の屋根です。
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うっすら積もっています。風がときおり雪を空に舞い上がらせています。
雪が小降りになりました。静かです。穏やかです。
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お爺さんは炬燵の中。手袋をしています。
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手袋は手を寒さから防いでくれます。有り難いです。
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窓の外に見えるのは隣家の白い雪の屋根です。
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うっすら積もっています。風がときおり雪を空に舞い上がらせています。
1
形質は草露の如く、運命は電光に似たり。倐忽(しゅくこつ)として使(すなわ)ち空(くう)じ須臾に即ち失す。
曹洞宗経典 普勧坐禅儀より
2
倐忽(しゅくこつ)=犬が早く走っている様子。
3
わたしたちが保っている肉体は草に宿った露のように儚い。繋いでいる生命は稲妻のように一瞬である。どちらもすぐさま実態をなくしてしまう。そんな儚いものを当てにすることは出来ない。
4
そこを超えているものがあるはずである。儚くないもの・空しくないものがあるはずである。絶対の信頼を寄せていいものがあるはずである。絶対の安心が得られるものがあるはずである。それを直視せよ。
5
わたしは自己流にそんなふうに読んでみました。この後に次の句がありました。
直指(じきし)端的(たんてき)の道(どう)に精進(しょうじん)し、仏仏(ぶつぶつ)の菩提(ぼだい)に合沓(がっとう)せよ。宝蔵(ほうぞう)自(おの)ずから開けて受容(じゅよう)如意(にょい)ならん。(途中に省略箇所あり)
6
この「道」とは座禅道でしょう。「仏仏の菩提」とは諸仏の悟られた真理の智慧のことでしょう。そこに一致すれば、仏法の宝蔵の扉が開いて、欲しいままに受容ができるということでしょうか。
7
「受容如意ならん」とはまことに禅宗らしい素晴らしいフレーズですね。欲しいままに受け取ることができる、とは。この世の安心を受容すること意のまま、とは。
8
今日はいい日だ。道元禅師の教えを聞くことが出来た。
雪があっという間に積もり始めている。降る雪の量が何倍も何倍も増加した。風はないように見えるのだが。雪は渦を巻いて落ちて来る。隣の家の屋根が一面白銀になって来た。寒さが加速しているようだ。なるほど天気予報は間違っていなかった。
もう畑も真っ白だ。我が家の周囲の小径も真っ白だ。土が見えなくなっている。気温1・7℃。
1
いま、嬉しがっていることはあるか、さぶろう?
2
・・・と、聞かれたらどうしよう。
3
黙っているしかないだろう。
4
重ねて聞かれる、こう。
5
では、さぶろう、お前にはいま嬉しがっていられることがないんだな?
6
さあ、困った。
7
あるはずだ。あっていいはずだ。
8
天地有情からたくさんのたくさんの届け物を頂いていながら、それを嬉しがっていないとすれば、さぶろうは冷酷非情男だ。
9
嬉しいこと不感症患者だ。冷たい。あたたかい体温がない。
10
嬉しがれ嬉しがれ嬉しがれ、さぶろう。いまを嬉しがれ。
11
そう言って聞かせる。生きているいまを嬉しがっていないでどうするんだ?
12
雪がまた降って来た。今度のは大粒だ。雪がさぶろうにも届いて来る。不感症患者のさぶろうめは、それでも嬉しがった様子を見せない。
13
雪は、愛されている者だけに届けられて来る宇宙からの贈り物だ。愛の贈り物だ。
14
さぶろうは、これを否定してかかる。そんなことはあるものか、と否定してうそぶいている。
15
おれが愛されているはずはない、そう頑固に言いつのって、冴えない顔をして暮らしている。
16
嬉しがっていいことばかりなのに、嬉しがっていないさぶろう。陰気にしているのが得意らしい。
わわわわ、雪だ! 雪が降り出して来た。午前8時半を過ぎたところ。風が大地の底を吹き抜けて過ぎる。大地に這いつくばって成長を図っている野菜たちが、風に靡く。靡く音が生まれている。気温は4℃。大寒波が来襲するらしい。いまはまだ序の口のよう。浮かれた雪の切片がベランダの奥にまで来て舞を見せる。
お爺さんは炬燵の中にいて暖を取っている。YouTubeの音楽を聴いている。今日は一日籠もって読書をする予定だ。寒波が過ぎて行くのを見守っているしかない。