過ぎし日を遊ばせんとや そを座布に座り賜(たま)ひて茶をお出しする 薬王華蔵
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人は日をたくさん持っている。過ぎ去った日も日である。生きている。姿を持っている。像をなして踏み止まっている。それを丁重にもてなすために、座布(ざぶ)を用意してお座り頂く。お茶をお出しする。菓子を口に含んでもらう。わたしとふたり向かい合ってお遊び頂く。
人は日をたくさん所持している。それが人の障害をゆたかにする宝物だということを、しかし、あまり知らないでいる。
70年生きていれば、70x365=25550日。人にそれだけの日が従っていてくれる。