かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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宛てにならない友情

2007-04-22 | 事例
こんな信金ってあるでしょうか。
担保の抵当権解除を、世田谷の自宅は4000万、箱崎の店舗の近くの、1LDKの事務所は800万でよいと云うのです。この頃から2-3年前の相場です。
平成17年、第2のバブルが吹き荒れている頃でした。

主人が会長、奥さんが社長の夫婦は、自宅を高く売り、それで事務所を買い戻すことです。
狭くても夫婦だけの住まいには充分です。事務所は店舗の倉庫部屋に移します。

今の借金はとても生存中に返済は出来ません。毎月の返済が年金寸前の夫婦には辛いです。
本業だけならば、仕入、販売とも月2回の現金決済ですから何とか回っていきます。
事務所と自宅を売って、残債務は勘弁して貰い、別会社でやっていくというのが二人の希望です。残額は返済の3倍強ありますが勘弁してくれると信じて居ます。
そして、住居を失うから、自宅を高く売って、その分で事務所を買い戻し、其処を住まいにする予定です。

「大丈夫、世田谷の売却で1000万は高く売れますよ。
ただし売却代金は全部銀行が持って行きますよ。高く売れたからと云って、その分は貴方の取り分ですとは、絶対に言いませんよ。
全部銀行に持っていかれるから、余程上手くやらなければなりません。
出来る人紹介しましょうか。信頼できる人です。」
私はそんな意見を言った事を覚えております。

しかし夫婦は私の意見は聞きません。
古くからの、主人の知り合の不動産屋が居るとのことです。無二の親友で自分を犠牲にしても夫婦のために動いてくれる人らしいです。
事情を聞いて「俺に任して置け。」とポンと旨を叩いたそうです。

間もなく「買い手が見つかった。」と報告がありました。しかし買い手や売却代金の報告はまだです。
そのうちに「俺のほうで上手くやるよ。」と云っていた不動産の測量代55万を持っていかれました。二人に痛い出費です。
としているうちに新提案がありました。
「今時、銀行も厳しく、不動産売却で鞘を抜くのは至難の事。俺の知り合いに一旦売ってほとぼりが冷めてから他に売る。事務所もお前の親戚でなく、俺の知り合いに一旦見せ金を作って貰って、その名義に変えるから承知してくれ。」
無二の親友の好意のこもった言葉です。主人は勿論同意して居ます。

知り合いの銀行の応接で、取引は済みました。4800万を払い、担保解除の証書を貰いました。名義変更はこちらだけで出来ます。
夫婦はそれならば、「親戚の名義には出来ないか。」と不動産屋に云いましたが、「今そんなことをすると銀行に見つかってやばい。暫く知り合いの名義にして置かないと駄目です。」
と、諭され、名義は不動産屋の知り合いの名義になりました。
しかしその後、自分は其処に住み、第2会社も作って安泰です。
残債務に関しては、信金もまだ五月蝿く言って来ていません。

3月、新聞で公示価格の発表になった頃、別件で主人から電話がありました。
その時に、気になっていた名義変更の事を聞きました。
「そのまんま。」との事です。
一寸心配になり、更に突っ込んで聞くと、不動産屋との間は全て口約束だけで、自分の名前に戻す約束の書類は何も取り交わしてありません。と云う説明です。
無二の親友は変ななことをする筈が無いと言うことが主人の考えです。

「貴方の気持ちも分かりますよ。しかし万一どちらかに突然不幸が起きたらどうしますか。貴方は自分の不動産を取られるだけですよ。そうでなくてもこうした時は何かの書類があるのが普通です。
先ず名義変更をする様、話しましょう。どうしても現状維持の時は何か書類を考えてあげましょう。直ぐに相手に聞いて御覧なさい。」
さすがに、主人は早速不動産屋に、名義変更を依頼したのです。

事件は此処から始まりました。
不動産屋は名義変更には触れたくない様子です。当初は逃げて居る様な感じでした。
さすがに主人も若干おかしいと感じて、ある日強く迫ったのです。
此処で不動産屋の開き直りがありました。

この不動産は銀行返済のために一時800万を知り合いが立て替えている。
尚その後、知り合い名義のための管理をして居る。その間に不動産は3000万くらいまで値上がりしている。
この値上がり分は主人だけが一人占めにすべきでなく、関係者が均等に分けるものでしょう。それを話し合うのが先決ではないでしょうか。

そして更にこの主張が変わりつつあります。
「もともとこの家を主人にそのまま戻すなんて約束は何処にもしておりません。
第一違法の事では有りませんか。
あくまで私が抵当権解除の承諾も得て、手にした物件で、誰のものでもありません。
ただ貴方が買い戻したいと云う時は、ご事情がご事情ですから、特別な価格で結構です。
その売買をしないときは、私も何時までも賃料0と云うわけに行きませんから、
今後適切な賃料を頂きます。
相手に有利な証拠は幾らもありますが、主人の不動産と云う証拠は何一つありません。だから訴訟も出来ません。
よしんば、訴訟が出来、裁判に勝ったとしても、詐害行為で、その値上がり分は銀行に返済するようになり、夫婦には何も残らないでしょう。

この話はまだ決着が付いておりません。
知り合いが不動産屋の傀儡であることは事実です。
どんな形になるか判りませんが、夫婦は払うようになることは間違い無いでしょう。

永年の無二の親友、大きくひびが入りました。






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