「君、此れは詐害行為ではないかね。」
「私もそう思いまして調べました。が、該当しないようです。」
はっきりではないですが、担当官と上司とのやり取りが耳に入りました。
後は何を相談して居るか解かりません。
Yは還暦の少し手前の歯科医です。
銀行の借金に追われて税金も2年くらい払って居りません。
業を煮やした税務署はついに彼の診療報酬を国民保険も社会保険も
差押えたのです。
ところが2軒とも「診療報酬は既に第3者に譲渡されて居ります。」
と云う返事です。
税務署は其の診療報酬を誰にも払わないように組合には要請して、
一方ではYを呼んだのです。
30年前に義母から3000万借りて開業しました。
借用書はきちんと入れて、エビデンス代わりに専用の通帳を作り、
この借金の出し入れは全て記載して居ります。
借用書には診療報酬を優先的に返済に回すようなことも書いて居ります。
しかし開業しても、もともと、商売っ気は無く、儲かる自費診療など
滅多にしません。
義母の借金も遅々として減りません。
そんなYが奥さんや義母に薦められて自宅兼診療所を作ったのです。
建築資金は全て銀行からです。2億3000万でした。バブルの真最中です。
案の上、返済は滞りました。
彼は折角の診療所です。あらゆる算段をして返済をしました。
当然他のものにはお金が回りません。診療どころでなくなって来ました。
義母は自分の貸したお金が戻らないばかりでなく、娘が生活にも
困るみたいです。ついにYの立ち直りの為に、診療報酬を一旦
自分の手元に入れて必要分だけを又Yに戻すようにしたのです。
勿論義母の取り分などありませんでした。
税務署は経緯を調べて、譲渡は正当の行為と認めて差し押さえを
解除しました。
義母もYも、此れで診療報酬は今後何処にも差押えられないことを
確認したのです。
やがて折角の自宅兼診療所は競売となりました。
Yはある私鉄の駅前のビルに1室を借り、そこで診療を始めました。
新規開店と同じですから、当分は年収も700万以下を覚悟です。
銀行は自宅競売後の残金を型通り請求はしましたが、結局は、
何もしないでサービサーに譲渡しました。
「医者だから取れる。」
サービサーはそう読んで居たみたいです。
しかし暗に相違して、Yは全然払って呉れません。
債務名義を取って心あたりのある銀行を差押えても空振りです。
ついに診療報酬をも差押えました。
此れも「譲渡済み」で空振り振りです。
此処でサービサーは「財産開示」を申請しました。
Yはあらゆる資料で自分の資産を説明しました。
裁判官もうなずいて居ります。
この時にサービサーは診療報酬の譲渡について徹底的にYに質問を
浴びせたのです。Yは答える必要も無いことまで丁寧に答えております。
帰りしなに、相手の弁護士はYに云って居ます。
「600万で和解しませんか。出来ないとなれば、
お義母さんまでご迷惑を掛けることになりますよ。」
Yは意味が判らず、払えないと はっきり断っています。
2ヶ月くらい経って、裁判所から彼と義母に書類が届きました。
義母がYの診療報酬を独り占めにするのは、他の債権者の権利を
侵す行為である。Yは債権者全員に公平に分配すべきである。
よって義母とYはこの譲渡契約を直ちに解除せよ。
又義母はサービサーが差押た日から財産開示の日まで受け取った
診療報酬630万を直ちにサービサーに払えと云う訴状です。
法律の事は何もわかりませんが、担保にしろ譲渡にしろ早いもの
勝ちではないか。それに此方は正当な理由があり、結局税務署まで
差押を諦めたのではないか。それにみんなで公平にと言いながら
630万を独り占めにする気ではないか。80歳に近い老婆まで事件に
巻き込むとはサービサーのやり方も少し汚いと思うし、徹底的に
争うと決めたのです。
しかし80歳の義母には裁判所から来た請求はきつかったらしいです。
払わないと何もかも差押される。自分は自宅も家財道具も全てなくなると
思い込んだのです。
630万、私がお金を出すから直ちに訴状を取り下げろと云うのです。
630万払って、Yの借金は全て片付きました。
しかしYは悔しくてなりません。
サービサーが罪も無い老人に難癖をつけ、630万むしり取ったと
思われて仕方ありません。
でも最近、新しい診療所も漸く患者が付いて忙しくなりました。
儲け下手な彼にも少しは残りそうです。
今度こそ、借金も返して小さなマンションくらいは持てそうだと
云う夢が湧いてきます。
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「私もそう思いまして調べました。が、該当しないようです。」
はっきりではないですが、担当官と上司とのやり取りが耳に入りました。
後は何を相談して居るか解かりません。
Yは還暦の少し手前の歯科医です。
銀行の借金に追われて税金も2年くらい払って居りません。
業を煮やした税務署はついに彼の診療報酬を国民保険も社会保険も
差押えたのです。
ところが2軒とも「診療報酬は既に第3者に譲渡されて居ります。」
と云う返事です。
税務署は其の診療報酬を誰にも払わないように組合には要請して、
一方ではYを呼んだのです。
30年前に義母から3000万借りて開業しました。
借用書はきちんと入れて、エビデンス代わりに専用の通帳を作り、
この借金の出し入れは全て記載して居ります。
借用書には診療報酬を優先的に返済に回すようなことも書いて居ります。
しかし開業しても、もともと、商売っ気は無く、儲かる自費診療など
滅多にしません。
義母の借金も遅々として減りません。
そんなYが奥さんや義母に薦められて自宅兼診療所を作ったのです。
建築資金は全て銀行からです。2億3000万でした。バブルの真最中です。
案の上、返済は滞りました。
彼は折角の診療所です。あらゆる算段をして返済をしました。
当然他のものにはお金が回りません。診療どころでなくなって来ました。
義母は自分の貸したお金が戻らないばかりでなく、娘が生活にも
困るみたいです。ついにYの立ち直りの為に、診療報酬を一旦
自分の手元に入れて必要分だけを又Yに戻すようにしたのです。
勿論義母の取り分などありませんでした。
税務署は経緯を調べて、譲渡は正当の行為と認めて差し押さえを
解除しました。
義母もYも、此れで診療報酬は今後何処にも差押えられないことを
確認したのです。
やがて折角の自宅兼診療所は競売となりました。
Yはある私鉄の駅前のビルに1室を借り、そこで診療を始めました。
新規開店と同じですから、当分は年収も700万以下を覚悟です。
銀行は自宅競売後の残金を型通り請求はしましたが、結局は、
何もしないでサービサーに譲渡しました。
「医者だから取れる。」
サービサーはそう読んで居たみたいです。
しかし暗に相違して、Yは全然払って呉れません。
債務名義を取って心あたりのある銀行を差押えても空振りです。
ついに診療報酬をも差押えました。
此れも「譲渡済み」で空振り振りです。
此処でサービサーは「財産開示」を申請しました。
Yはあらゆる資料で自分の資産を説明しました。
裁判官もうなずいて居ります。
この時にサービサーは診療報酬の譲渡について徹底的にYに質問を
浴びせたのです。Yは答える必要も無いことまで丁寧に答えております。
帰りしなに、相手の弁護士はYに云って居ます。
「600万で和解しませんか。出来ないとなれば、
お義母さんまでご迷惑を掛けることになりますよ。」
Yは意味が判らず、払えないと はっきり断っています。
2ヶ月くらい経って、裁判所から彼と義母に書類が届きました。
義母がYの診療報酬を独り占めにするのは、他の債権者の権利を
侵す行為である。Yは債権者全員に公平に分配すべきである。
よって義母とYはこの譲渡契約を直ちに解除せよ。
又義母はサービサーが差押た日から財産開示の日まで受け取った
診療報酬630万を直ちにサービサーに払えと云う訴状です。
法律の事は何もわかりませんが、担保にしろ譲渡にしろ早いもの
勝ちではないか。それに此方は正当な理由があり、結局税務署まで
差押を諦めたのではないか。それにみんなで公平にと言いながら
630万を独り占めにする気ではないか。80歳に近い老婆まで事件に
巻き込むとはサービサーのやり方も少し汚いと思うし、徹底的に
争うと決めたのです。
しかし80歳の義母には裁判所から来た請求はきつかったらしいです。
払わないと何もかも差押される。自分は自宅も家財道具も全てなくなると
思い込んだのです。
630万、私がお金を出すから直ちに訴状を取り下げろと云うのです。
630万払って、Yの借金は全て片付きました。
しかしYは悔しくてなりません。
サービサーが罪も無い老人に難癖をつけ、630万むしり取ったと
思われて仕方ありません。
でも最近、新しい診療所も漸く患者が付いて忙しくなりました。
儲け下手な彼にも少しは残りそうです。
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