ホテルに5年4か月滞在、謎の女性死亡…「病院は行きたくない」部屋に現金750万円 2020年12月31日 11時17分 読売新聞オンライン
全国有数の温泉地・大分県別府市のビジネスホテルで今年、「井出百枝いでももえ」と名乗る高齢女性が亡くなった。
女性はこのホテルに5年4か月間滞在。部屋からは現金約750万円が見つかった。市は、身元不明の「行旅-こうりょ死亡人」として官報に掲載し、情報提供を呼びかけているが、特定には至っていない。
別府市消防本部によると、女性は今年3月、ビジネスホテルの部屋のトイレで倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された。県警によると、事件性はないという。
官報によると、女性は2014年11月から、このホテルに滞在。1935年生まれの「井出百枝」と名乗った。身長1メートル53で、白髪交じりの短髪だった。
遺品は現金のほか、指輪やバッグなど。健康保険証などの身元が確認できるものはなかった。ホテルは1泊4000円程度で、滞在期間の宿泊費は700万円を超える計算になるが、女性はきちんと払っていた。
関係者によると、別府市職員と福祉関係者が昨年末、ホテルに長期滞在する女性が体調を崩したとの情報を受け、部屋を訪ねた。風邪の症状があった女性は「病院には行きたくない」と拒んだという。
今年1月頃、市職員と福祉関係者が部屋を再訪。高齢者施設を紹介しようとしたが、部屋には入れてもらえず、女性は「ホテルが一番落ち着く」と申し出を断った。2月頃の3度目の訪問でも「ホテルにいたい」と繰り返した。女性は「親族はいない」とも話していた。
女性の遺体は火葬され、市内の納骨堂に安置された。今も身元は分からず、遺品の受取人もいないため、市は今月、財産の処分などを行う相続財産管理人の選任を大分家裁に申し立てた。今後、ホームページに遺品を掲載して情報提供を求めることも検討する。
市福祉政策課の田辺裕課長は「身元が分からずに、行政が火葬の手続きをするのは悲しいことだ。なんとか親族を見つけ、弔ってもらいたい」と話している。
「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」とは、日本において、本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者を指す言葉で、行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称でもある。「行旅」とあるが、その定義から必ずしも旅行中の死者であるとは限らない。なお、「行路死亡人」は誤り。*Wikipedia より
なんとも悲しい結末を迎えた「行旅死亡人」。
「身元確認」ができて「遺族や関係者」に「遺骨」を渡せることはあるのか?そしてちゃんと「埋葬」されることを望むばかりである。