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<経産大臣指定伝統的工芸品> 長野 信州打刃物

2021-05-01 06:40:55 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「信州打刃物」

 Description / 特徴・産地

 信州打刃物とは?
 信州打刃物(しんしゅううちはもの)は、長野県長野市周辺で作られている金工品です。この地は旧・信濃国であり、信州とも呼ばれたことから「信州打刃物」と名づけられています。
 信州打刃物の特徴は、手作業で一本一本ていねいに打ちのばすことから生まれる強靭さ、切れ味のよさ、そして切れ味が長持ちすることです。信州打刃物の主な製品には、鎌・鍬(くわ)などの農具、鉈(なた)・斧(おの)といった山林用具、包丁などがあります。
中でも、信州打刃物の代表格である信州鎌は、草刈り鎌として高い評価を得ています。その理由は、刈った草が手元に寄ってくる「芝付け」加工や、刃を薄くしても手元が狂わないよう内側に湾曲した「つり」加工といった独特の工夫がほどこされていることが特徴です。さらに、片刃の薄刃であるために軽く、使いやすいことも魅力です。
 信州鎌の技術は19世紀前半に生まれたとされており、その技術を受け継いだ鍛冶職人によって、現在も作られています。

 History / 歴史
 信州打刃物 - 歴史

 戦国時代の16世紀半ば、川中島の戦いの際、武具や刀剣類の修理のため長野市一帯に移住した鍛冶職人から里人が鍛冶技術を習ったのが、信州打刃物の始まりとされています。鍛冶の技術は農具や山林用具作りに活かされ、その後改良を重ねながら代々伝えられてきました。
 この地域は北国街道(ほっこくかいどう)の街道筋にあたっていたことから、山陰地方の鉄やハガネなどが直江津の港経由で入手しやすい状況にありました。また、信州打刃物の特徴である薄刃を鍛えるために適した、ふつうの木炭よりやわらかい松炭の原料となる松林がふんだんにあります。刃物の販売の点でも、街道筋ということで全国に販路が広がっていきました。
 19世紀前半の文化文政期には、草刈り鎌づくりをしていた鍛冶職人が信州鎌の特徴となる「芝付け」「つり」を考案し、別の鍛冶職人が両刃の鎌を片刃の薄刃物に改良します。
 この二つの鎌が今の信州鎌の原型となりました。その後も刃物づくりの技術は発達し、現在の信州打刃物に伝承されています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/shinshuuchihamono/ より

 打たれるから強くなる 信州打刃物
 450年の歴史を持つ信州打刃物。強靱でいつまでも切れ味が落ちず使い勝手がよいということで、特にこの産地の鎌は有名である。そのほかに手打ちだからこそ様々な種類の刃物を作ることができる。今回はあらゆる刃物を鍛造する職人に話を聞いた。

 
 試行錯誤の連続
 信州打刃物の技術を継承する伝統工芸士の畑山充吉さんは、生まれも育ちも信濃町。親の家業も打刃物だった。その家業は兄が跡を継いで、畑山さんはしばらく別の仕事をしていた。21歳の時に信濃町に戻り、家の手伝いをするようになる。とはいうものの「いきなり『やれ』と言われてね、何も教えてくれなかったね」と当時を振り返る。「だから何から何まで試行錯誤の連続だったね。機械のすり減り方が早いのはなぜか、どんな鋼(はがね。刃先に使われる硬い金属)を使えばいいのか、鋼と下地が剥がれないようにするにはどうすればいいのか、とにかくよく研究したよ」畑山さんは26歳の時に独立。以来信州打刃物一筋で生きてきた。


 叩くことで不純物が抜ける
 機械化された工場で作られる刃物と信州打刃物の大きな違いは、製造時に刃の部分を「叩くこと」である。最近は機械式のハンマーを使うこともあるが、それでも基本的にとにかく叩く。なぜ叩くのか。「叩くことにより不純物が抜けるし、組織が細かくなる。そうなると、刃物がよく切れるようになるし、永切れ(いつまでも切れ味が落ちないこと)するんだ」と畑山さんは語る。一方、一般に出回っている刃物は「型抜き」の刃物である。叩かれることなく削られて刃先がつけられる。「比べてみれば切れ味が全然違う」と畑山さんは自信を持って言う。


 刃物の種類によって鋼を変える
 信州打刃物を作るには2種類の金属を叩き合わせて作る。簡単に言うと下地となる金属と刃先になる金属である。下地になる金属を地鉄、刃先になる金属を鋼(はがね)と言う。刃物の切れ味に大きく関わるのは鋼の部分であるが、その鋼には種類があり、それぞれ特性が異なる。「炭素の少ない鋼は粘りがあるから欠けに強い。だから厚鎌や鉋に。炭素の多い鋼は薄鎌や包丁なんかに使うと永切れしていい」刃物の用途に合わせて鋼を使い分けている。


 必ず自分で使ってみる
 畑山さんは「どんな刃物でも作ることができる」と言い、鎌、鉈(なた)、菜切包丁、出刃包丁などから盆栽用の刃物まで、注文に合わせてさまざまな刃物を作っている。「作ったら必ず自分で使ってみて刃の切れ具合を確かめるんだ。だから鎌を作ったときには裏庭の草刈りをする」直径3センチ程度の木ならノコを使わなくても畑山さんの鎌で切ることが出来るという。丈夫で良く切れる鎌だからこそできることである。

 使い方に合わせて刃物を選んで欲しい
 畑山さんが1日に作ることができる量は鎌だと20~50本である。作った刃物には普通は瓢箪の印が刻まれる。しかし特注のものになると「充吉作」と刻まれる。どちらも職人としての誇りと責任の証である。「使用に合った刃物を選んで欲しい。例えば草の種類によって鎌を変えるとか。やってみるとわかるけど、作業性が違うんだ。とにかく使ってもらいたいね」。自分の仕事に自信を持っているからこそ言える言葉である。使えば使うほどその良さがわかる、そういう刃物が信州打刃物なのではないだろうか。


 職人プロフィール

 畑山充吉 (はたけやまじゅうきち)

 昭和21年生まれ。
 「昨日よりも今日は良いものを作ろうといつも思っている」と語る伝統工芸士。
 「特に焼き入れの温度にはこだわるね」


 こぼれ話

 刃物のナミナミ

 「包丁の絵を描いてください」と言われたらあなたはどんな絵を描きますか。おそらく多くの人が、輪郭を描いた後に刃先の近くにナミナミの線を描き加えるのではないでしょうか。実はこのナミナミが地鉄と鋼の境目なのです。ものによってはほぼ直線のものもありますが、色が変わっているのでわかると思います。
 2種類の鉄を使うのは、地鉄の粘りと鋼の固さを上手く組み合わせることで、良く切れて長持ちする刃物が出来上がるからなのです。人間の知恵の結晶とでも言えるのではないでしょうか。信州打刃物のように2種類の鉄を使っている刃物はすべてこのナミナミがあります。
 一方、ナミナミがない包丁はどうなのでしょうか。それは手打ちのものではありません。さて皆さん、ご自分の使われている包丁を見て、ナミナミを確認してみましょう。

*https://kougeihin.jp/craft/0707/ より


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