「ザンギ」
主な伝承地域 道内全域
主な使用食材 鶏肉、醤油、小麦粉、しょうが、にんにく
歴史・由来・関連行事
北海道では鶏の唐揚げのことを「ザンギ」と呼ぶ。「ザンギ」は一般的な鶏の唐揚と比べ味付けが濃いのが特徴。揚げる前に鶏肉を醤油ベースの甘辛いタレに漬けこんでつくられる。骨付き「ザンギ」と骨なし「ザンギ」の2種類あるが、道内では骨なし「ザンギ」を取り扱う店舗の方が多い。
「ザンギ」は、昭和30年ごろに釧路市の末広歓楽街に店を構えていた鶏料理店が、鶏一羽をぶつ切りにして唐揚げにしたのがはじまりといわれている。名前の由来は、店主が中国料理の鶏の唐揚げ「炸鶏(ザーチー/ザーギー)」に運が付くようにと、文字の間に「ン」を加えて「ザ『ン』ギ」と呼ばれるようになったという説がある。
いまでは、鶏肉の唐揚げ以外にも、「タコザンギ」や「サケザンギ」など食材に衣を付けて揚げたものを「~ザンギ」と名称をつけて呼んでいる。
食習の機会や時季
「ザンギ」は家庭のおかずの定番として、1年を通してつくられている。また、祝いの席などの行事には必ず食卓に並ぶ人気の一品でもある。親戚や友人が集まる時から、子どもの運動会や遠足、日々の弁当まで、あらゆる場面で食べられている。
飲食方法
最初に鶏肉を醤油、卵、酒、しょうが、にんにくなどに漬けておき、濃いめの下味をつける。表面がきつね色になるまでしっかりと揚げる。揚げた鶏肉をさらにタレにつけて食べることもあり、タレも各家庭や店によってさまざま。ごはんの上にのせて「ザンギ丼」として食べることもある。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
地域や各家庭によって漬けこむタレの味付けが微妙に異なるため、レシピや分量は各家庭でそれぞれ受け継がれている。
発祥の地といわれれている釧路市内で開催される祭りやイベントには「ザンギ」がよく提供される。北海道の飲食店では定番メニューにもなっており、濃い味付けなので、居酒屋の酒の肴としても人気が高い。「ザンギ」の専門店も多く存在し、テイクアウトして家庭でも楽しめる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/zangi_hokkaido.html より
これがザンギの原型!! 釧路の発祥店で今も守り続けられる伝統とは 2017年8月30日 北海道ウォーカー 北海道のニュース ライフスタイル
北海道では、鶏のから揚げを「ザンギ」と呼びます。北海道民が昔から慣れ親しんだザンギは北海道を代表するソウルフードです。多くの店で「ザンギ」を食べることができますが、その発祥は北海道・東部の釧路市。なかでも発祥の店といわれているのが「鳥松」(とりまつ)。今回はその名店を徹底取材します!
元々は焼き鳥店だったザンギ発祥の店「鳥松」
開店と同時に、持ち帰りザンギの予約電話が鳴り響く店内。釧路市民のみならず海外の観光客もテイクアウトするほど人気の「鳥松」。ザンギ発祥のこの店は、現在2代目店主の高倉さんがその味を守り続けています。
開店当時は焼鳥店だったという同店。なぜ焼鳥店から北海道民のソウルフード「ザンギ」が生まれたのでしょうか?
「開店当時、まだ先代の店主だったころ、ブロイラーの売り込みがあったんだよ。1羽まるごと仕入れて、それをぶつ切りにしたのがザンギの始まり。だからうちは骨付きザンギがメイン」と高倉さん。近年骨なしのザンギが多いですが、1羽まるごと仕入れ、店内で調理する鳥松では骨付きのザンギがメインです。
鳥松で「ザンギ」とオーダーすると出てくるのが骨付きの「ザンギ」(580円)。外側はカリッ、サクッとした食感です。中からあふれ出る鶏の肉汁が、一層このザンギの美味しさを感じさせてくれます。そして、釧路のザンギの最大の特徴でもある秘伝のタレにも注目。鳥松では、ウスターソースをベースに各種スパイスを加えたオリジナルのタレ。残念ながら製法は秘密とのこと。中濃ソースのようにとろっとしたタレではなく、サラサラしています。薄味の鳥松のザンギはタレをつけて完成する! といっても過言ではないほど、ザンギとタレの相性は抜群で、サクッとしたザンギの食感や鶏肉の旨味を損なうことなく味わえます。
タレをつけなくてもほど良い下味がつけられているので、サクサクとした衣の食感と、ジュージーな肉汁が相まっていつまでも食べ続けられそう。少し味に飽きてきたら、今度はタレをつけるのもオススメ。カリカリの衣が少ししっとりとし、タレなしとはまた違いスパイシーな味わいになります。
店内で食べるだけではなく、テイクアウトとしても人気がある鳥松の「持ち帰りザンギ」(1160円)。持ち帰りは2人前からとなっており、価格は店内で食べるのと変わりません。持ち帰りの場合でも、秘伝のタレを楽しめるのもうれしいポイントです。
持ち帰るとどうしても表面のサクッとした食感が失われてしまいますが、オーブンなどで軽く焼いてから食べれば良いそう。加熱は電子レンジよりもオーブントースターがオススメで、2分ほど加熱するとさっくりとした食感が復活するとのことです。
厨房をのぞいてみると、タイマーの類がないことに気が付きました。黙々とザンギを揚げ続ける高倉さんにお話をうかがうと「毎回揚げる量が違うからタイマーなんてアテにならないんだよね。音と気泡の状況でタイミングを判断しているよ」と答えてくれました。これぞ職人技ですね!
昔と変わらぬタレや製法、味付けを守っている鳥松ですが、昔と今とでは少しだけ変わったところも。「鳥松」のザンギといえば、長らく骨付きが王道として愛されてきました。しかし、近年では骨なしの食べやすいザンギが好まれるようになってきたため、骨なしザンギを始めたそう。高倉さんは「昔から来てくれている人は骨付きのほうがいいって言う。でも、色んな人が来るから、骨なしも人気だよ」と語ってくれました。
また、昔は出刃包丁で鶏肉をさばいていたそうです。「出刃包丁でさばいていた時は本当に大変だった。中華包丁にしてから楽になったよ」。鶏肉をさばく中華包丁は、高倉さんが使いやすいよう研ぎ方などにも工夫があるよう。良い道具でより美味しいものを出したいという思いが伝わってきました。
「昔ながら」を守りながらも、進化を続けている「鳥松」のザンギ。ザンギの原点を知るためにも、ぜひ食べておきたい味です。
鳥松 釧路市栄町3丁目1
*https://www.walkerplus.com/trend/matome/article/119397/ より
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