
ほころぶ蝋梅のつぼみ
うましといえどもこの時季に“水”を話の妻とするのは、やや季節外れの感もあるが、ご辛抱頂きたい。
わが隣町にあたる雄町(おまち)には有名な冷泉がある。この「雄町の冷泉」こそは江戸時代、岡山藩主池田家の御用水として使われ、備前国一の名水として知られており、1985年には全国の名水百選に選ばれたほど。
ここの名水のことをNHKラジオ番組の中でPRしてから2年半になる。久し振りに東方面をウオーキング中に、「おまちアクアガーデン」を通りがかったので、しばし足を止めた。相変わらず水汲みに来る人々の列が絶えないようだ。
元々の冷泉(源泉)は、ここから300㍍ほど離れた住宅街の路地奥にあり、知る人ぞ知る存在である。いわば個人宅I井さんちの庭前であるが、ここへも立ち寄ってみた。水汲み客もなくひっそりとしているが、庭は掃き清められ箒跡がきれいに残る。
ここいらの冷泉は旭川の伏流水が地下を流れている環境下にあって、古くから「セリ」の栽培が盛んで今でも岡山市内で唯一の栽培地である。今が最盛期とあって枯れた冬景色の中でセリ田だけ青々としている。
またこの地で収穫される酒米「雄町米」も有名で、その清水に育まれた雄町米を使った名酒もある。近くには岡山銘菓「大手まんぢゅう」の工場もあるが、勿論のこと雄町の冷泉の賜物である。
わが住む「中井」の地名の由来にしても、町内を流れる用水の中ほどに井戸があった(現在でもある)ことから来ている。その上、近くには「清水」という地名もある。かつてはこの辺り一帯が清浄で豊富な水源の地であったことの証左であろう。



絶えない水汲みの列


ベルナール・ジトンの考案した水時計
(撮影時は午後4時2分だが、時計は2時6分を指していた)

近くの青々としたセリ田

元々の冷泉(源泉)
