アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

言葉の本質が分からなくなっちゃうよぉーっ

2021年07月25日 | Weblog
 「『ドラッグで遊ばせませんか』とは、ひどいっ!」
 高速道路のPAに立ち寄ったときに家内が「叫び」ました。
 家内の「言い間違い」を真に受けて、被害を受けていますので、「ドラッグで遊ばせませんは、ひどい」という「叫び」にも用心しました。
 ドラッグで遊ぶ…十両・貴源治(常盤山部屋)が大麻を使用していた事件があったばかりなので、無視することもできず…「ドラッグで遊ばせるって?」と、反応しました。

 PAの看板には、「ドッグランで遊ばせませんか」と書いてありました。「ドッグラン」を「ドラッグ」と読み違えたわけで…さすが、カミサン、間違いチャンピオン!
 間違いを指摘すると、「ンがあるかないかの違いだけでしょ!」と、抵抗してきました。そうゆー問題ではないと思いますがね。
 「ドラッグで遊ばせませんか」と誘われると、「ではちょっとだけ」と、言いたくなりそう。柔らかな表現で言われるとついつい気を許しそうな。

 コロナ禍と関係があるのか、世の中、刺激を抑えた言い方が普通になってきています。 
 刺激を抑える婉曲な言い回し…よく考ええると、コロナ禍で始まったのではなく70数年前からあったね。
 刺激を少なくしたものの代表は、第二次世界大戦の敗戦について、「敗戦記念日」とは言わず、「終戦記念日」としているところでしょうか。日本国民のプライドを守る表現です。「占領軍」を、「進駐軍」といいますが、米軍に刺激を与えないための言い方。

 いつのまにか、「犯人」を「容疑者」と呼ぶようになってきています。「容疑者」となると、「いい人」っぽい。犯人にを、いい人のイメージを持たせちゃダメでしょ。
 「解雇」では刺激が強すぎるので、「リストラ」。動物園かっ!

 「子供」か「子ども」か?これは、私が昔(今は3年一昔)、「子供と表記すべし」と、書きました。ところが、最近は、「子ども」と書くことも多くなりました。時代に負けたのかって?そ、そーゆーことになるのでしょうか…。公的な文書に、「子ども・・・」と書いてくるのです。「子供」では、「ガキども」みたいで刺激が強いということ。一人で反対していてもしょうがないので…。長いものには巻かれろ、流れに竿さすなってところでしょうか。

 「全然いい」…これ最近ごく普通に使われています。ところが、これは刺激とは関係がない。「全然」は昔から肯定にも使っていました。否定を必ず伴うわけではないのです。つまり、「全然いい」は、「全然いい使い方」なのです。

 消費者金融の取り立て屋との電話で、相手が「ぶっ殺す」を連呼するモノですから、「あんたねえ…その言葉遣い…」と、言ったところ、「あんただとコノヤロウ、ぶっ殺す」と、言われたことがありました。その業界では、「あんた」は、刺激が強い大変に失礼な言い方らしい。では何が良いのか?「きさま」「おまえ」が良いのかも知れません。「きさま」は、「貴様」ですから、敬意を表す2文字の結合。「おまえ」は「お前」ですから、神や天皇の前を指す、「大前(おおまえ)」が語源。
 「金を返さねえとぶっ殺すど、こら!」
 「きさまぁぶっ殺すとは何事だ、こら!」
 「きさまだとぉ、刺激が強い言葉を遣いやがって!2度ぶっ殺す」
 「貴様が気に入らないのかぁ?では、おまえっ!」
 「おまえだとぉ、し、刺激が強い!3度ぶっ殺す」
 うーん!この応酬五分五分の戦いだなあ!感心している場合じゃないね。
 「きさま」「おまえ」は、時代を経るに従い「尊敬・親愛→軽蔑」と、意味が変遷したもの。

「武器輸出」では、刺激が強い。で、「防衛装備移転」という言葉に変わりだした。しまいに、言葉の本質が分からなくなってしまいます…。