アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ロシア人は笑わない?

2012年10月28日 | Weblog
 モスクワのロシア人のガイドが、「旅行を通してロシア人が笑わないわけを考えてください」と、課題を出しました。このロシア人ガイドは、50歳前後の女性。同年代のほかのロシア人女性がそうであるように…体重は80~90キログラムはありそう。表情は、さながら鉄仮面のよう。笑顔を作ることなど考えられない印象。
 ロシアの若い女性は、みなさんスリム。長い足に、さらにハイヒールを履くので、2メートルを越える女性も。彼女らは、背筋を伸ばし、風を切るように歩きます。日本へ連れてきたら、スーパーモデルとして通用するでしょう。しかし、年齢と共に、「魔人ブー」の完全体に近づくのです。
 
 おっと、閑話休題。
 これまで33か国を旅行しましたが、入国審査では、米国以外では気持ちよい対応は…少なかったですね。米国は、パスポートを見ながらジョークを飛ばしてくれたりします。「お土産はトヨタ車かい?トヨタは故障しないね」とか、「息子が日本へ行ったことがあるんだが忍者に会えなかったと残念がっていたよ」など…。こちらも思わず笑ってしまいます。日本では忍者が走り回っている?一体、何時代だぁ!

 さて、34か国目、ロシアの入国審査では…
 ロシア語のおはようは…「ドーブラエ・ウートラ」。こんにちは:「ドーブルイ・ヂェーニ」(ドーブラエではなくドーブルイ)。こんばんは:「ドーブルイ・ヴェーチェル」 全ては暗記できなかったので、とりあえず、「ドーブルイ」の部分だけを暗記して行きました。暗記の仕方は、「胴震い(ドーブルイ)」です。男性の場合、小用を足したあと、「胴震い」をします。女性は…不明です。

 さて、パスポートと出入国カードを提出し、「胴震い…」と、言いました。さて、そのあとは暗記していないので言えない。そのあとを思い出せないフリをして、「胴震い…胴震い…」と、続けた。その時、入国審査の女性が、にこりともせずに、「ドーブラエ・ウートラ」と。そのあとうつむいて、「クスッ」と、笑ったのを私は見逃しませんでした。嘲笑したのではなく、思わず笑ってしまった…と、信じておりますけどね。
 そんなことがあったものですから、ロシア入国の時点で少しだけですが好印象を抱いておりました。そこへ持ってきて、モスクワのガイドは、「ロシア人は笑わない」と、決めつけておりましたので、「オイオイ、マジカヨ?」と。
 私の体験では、「ロシア人は面倒見が良く優しい」「目が合うと笑顔をつくってくれる」など、むしろよく笑ってくれました。

サンクト・ペテルブルクのロシア人ガイドは、これまた大柄の女性で、常に微笑みを絶やさない人でした。本人が言うには、「笑顔を作るために、努力したのよ」。

 サンクト・ペテルブルクのネフスキー大通りのバス停付近で、ガイドブックを広げていました。すると、バスを待っていた男性が、「ヴァスターニャ広場ならあっちだ。カザン教会?あそこだよ」と、積極的に話しかけてくれました。もちろんロシア語ですが、お互いの意思疎通にはなんの問題もありませんでした。面倒見が良く優しいというのはこのような経験からです。
 ランチにしようと、ロシアクレープ(ブリヌイ)のファストフード店を探しました。通りすがりの、日本へ行けばスーパーモデルになりそうな女性を呼び止めて尋ねました。な、なんと流暢な英語を話すではありませんか!「私は、その店を知らないけど、この地図ではもう1ブロック先よ」と。笑みを絶やさない!
 行き着いたファストフード店の店員も皆私どもの味方。「なんとかこの貧相な東洋人夫妻に、ブリヌイを食べさせてあげよう」という気持ちが伝わってきました。落ち着いて考えると、ロシア語は、「胴震い」しか知らないのに、ファストフード店に入るのって…。恐れを知らない…。

 結論として、「ロシア人は、笑う」。そりゃあ、数の中だから笑わない人もいるでしょう。それは日本人とて同じ。
 モスクワのガイドは、どのように課題の解答をしたのかって?あのガイドは、「オシッコがしたい」と、いう人を、「(1時間前にしたばかりなのに)おかしい!」と言った人です。膀胱が裂けても、「おかしい!」と、言うのでしょう。彼女とは、うやむやのうちにおさらばしたので解答は聞いておりせん。
 おそらく…「笑わないことは、共産党時代に培われたもの。笑っても笑わなくても給料は同じ、だったら笑わずに済ます方が顔の皺が増えなくて良い」といった解答を用意していたんじゃないのかなあ。