アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

民間人による「おとり捜査」

2009年03月01日 | Weblog
  だまされたふり作戦

「だまされたふり作戦」…そのまんまのネーミング!振り込め詐欺に対して、「だまされたふり作戦」が奏功し、高い検挙率となっているという。2月前半の2週間で、全国で19人を逮捕したという。

 私も備えています。息子をかたる振り込め詐欺の電話が来たら…
詐 「もしもし、オレオレ」
私 「おう、清兵衛か?」  
詐 「そ、そう、清兵衛です。実は…お金…」
私 2つのバージョンを用意しています
 その1 藤沢周平バージョン
 →「コラア!清兵衛なんて息子はいない。たそがれていろ!」
 その2 志賀直哉バージョン
 →「まんまとひっかかったな!ひょたんでも作ってろ!」
 常にシュミレーションしておかなければ、とっさの時に、本当の名前を言ってしまいますからね。

 「だまされたふり作戦」は、電話で犯人を暴いてしまうのではなく、一旦だまされたふりをして、警察へ通報し、犯人側がノコノコ出かけてきたところを逮捕。ターゲットとされた人の演技力を必要とする作戦ですね。楽しいし、犯人もつかまえられる、一石二鳥の作戦です。

 心配なのは、「だまされたふり作戦」は、「民間人によるおとり捜査」に該当しないか?ということです。日本では、「おとり捜査」は「麻薬捜査、覚醒剤捜査」以外はダメだったんじゃないか?
 「おとり捜査の禁止」という法律はありませんが、刑法に次のようなものがあります。
 「人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する」(刑法第61条の教唆)
 そそのかして、犯罪をさせたらだめだよということ。だまされたふりして、犯人グループに犯罪を実行させる…これって、そそのかしていますよね?と、なると正犯の刑を科せられるのは、機転を利かせ犯人逮捕に協力した、「だまされそうになった人」。

 国家による…つまり警察によるおとり捜査に、「犯意誘発型」と「犯罪機会提供型」があるのだそうで…。
「犯意誘発型」は、犯罪意思のない人に働きかけて、犯行させるもの。
「犯罪機会提供型」は、犯意ありありの人に対して、犯行の機会を与えるもの。最高裁では、後者に対し、「いいんじゃないか(平成16年)」という見解。

 「だまされたふり作戦」は、「犯罪機会提供型」なので、おとり捜査の範疇から、外していただけそうですね。良かったです。

 おとり捜査なのか潜入捜査というべきか…
 知的財産権を侵害すると思われる、インターネットを使った、良くないもの(海賊版ソフト、偽ブランド商品)の販売、ワイセツ関係、薬物などについて、捜査員が身分を隠してアクセスして潜入、摘発するケースが多くなってきました。こういうのは、どんどんやってほしいです。とにかく、新手の犯罪が毎日出現しているのですから、待っていないでこちらから行く。これは、犯罪抑止にも繋がります。

 「だまされたふり作戦」の展開により、民間人が犯人逮捕に協力する機会が増えました。一億総警備員の時代到来!楽しいです。
 小学生も、やってくれましたね。仙台市で、窃盗を目撃した小学6年の男の子が、容疑者を1km以上も尾行。容疑者の家を確認し、近くの交番に知らせた。
 民間人の協力はいいのですが、次に起こる問題は、「犯人からの復讐」です。対処法は、今すぐ考えておかなければなりません。復讐の被害者が出てからでは遅いです。