略語
FE フランス初版
GE ドイツ初版
A 自筆譜ファクシミリ
m. 小節
【校訂報告 ✐౽】
m.58-59(譜例5)
FE(ミクリ版も同様)は、58,59小節の左手の最後の8分音符がF-A♭ではなくF-Gとなっている。
FE(ミクリ版も同様)は、58,59小節の左手の最後の8分音符がF-A♭ではなくF-Gとなっている。
エキエルは、F-Asです。
自筆譜ファクシミリはこのようになっています。
1小節前のF-Gと同じ書き方に見えます。問題の箇所もF-Gで書かれていると思われます。
このあとの m.62-63 に右手が1オクターブ高くなり現れます。
その時の左手はF-As-Fです。
これを考えると、エキエルやパデレフスキーのF-Asは納得できます。
この部分は f-mollで、和声がF-GはⅡ7、F-AsはⅣ7です。
どちらもサブドミナントと考えると大した違いはないかと単純に思ってしまいますが、弾いてみると結構違います。音楽のキャラクターが全く異なります。
この一音で、2小節後に出てくる1オクターブ高くなったものとの表現に違いが生じます。
こちらはミクリです。私はこの楽譜で弾きましたが、この音は意味があると思い弾きました。
【校訂報告 ✐౽】
m.61(譜例6)FEは、最後の2つの8分音符にB音が書かれている。
こちらはヘンレ版にある校訂報告で、パデレフスキーには載っていないものです。
自筆譜ファクシミリにB音はありません。
エキエルもB音は入っていません。
メロディーに第3音があるので、伴奏との重複は和声法的にありえません。それに弾きにくいです。
パデレフスキー版をお使いの方は、ここは注意された方が良いと思います。
パデレフスキー版通り左手F-As、Bありのブレハッチ(自筆譜はF-G、Bなし)
F-AS、Bなしのホロヴィッツ
ミクリパターンは見つけられませんでした。
今回はここまでです。 ✐౽