ピアノ導入教本「不思議な音の国」は、原題は「Tales of a Musical Journey」と言います。
著者はウクライナ出身、アメリカ在住のイリーナ・ゴリンさんです。
私は彼女のレッスン動画から多くを学びました。
彼女の動画が一番わかりやすかったからです。そして、生徒さんの音の美しさと音楽表現は本物のレッスンをされている成果だと思いました。
この教本は、大きな腕の動きから学び始めます。
それはピアノは指だけでチョコチョコと弾く楽器ではないからです。
腕が動かせるようになるためには姿勢がとても大事です。
背中の支えがなければ腕は自由に動かせません。しかもピアノは自分で腕を持ち上げて弾く楽器です。
背中でコントロールするから、ピアノは背中で弾くと言われるのです。
イリーナさんのレッスンでは生徒さんの姿勢を何度も何度も直されています。
足も平らにコインを踏むように置いてと何度も何度もおっしゃいます。
日本の習字を思い浮かべると、やはり姿勢が大事です。
それは腕を使って書くからです。
美しい線を書くためには腕の使い方を知らなければなりません。
私は習字は習ったことはありませんが、先生が生徒さんの手を持ってお手本を書く光景は知っています。
考えてみましたら、ピアノのレッスンでしていることとそっくりです。
イリーナ先生が生徒さんの手を支える様子は多くの動画で見ることが出来ます。
ついつい3の指や手首の動きに目が行ってしまいますが、ちゃんと腕が下がらないように、手首が下がらないように支え、そして第3関節の手の平側に先生の手を入れていらっしゃいます。
指を支えるのは指先ではなく、指の根元です。
第3関節の感情線の少し上あたり。
その様子はこちら。
4歳になる前にレッスンを始めた生徒さんは、直したくとも1回弾くともう弾く気が失せてしまうことが多く、もっと集中力が付いてきたらやろう、と考えてきました。
年長の終わりくらいになるとグンと集中力が増し、何度か続けて弾いてもらっても大丈夫にはなるのですが、それまでには既に良くない癖がついてしまっています。
それを直す根気は本人にはなく、なぜ直すかも理解できないので、結局そのままになってしまったのが私のレッスンです。
説明しなくとも、イリーナさんのように何かにつけ手を支えておくべきだったと思います。