略語
FE フランス初版
GE ドイツ初版
A 自筆譜ファクシミリ
m. 小節
【校訂報告 ✐౽】
m.141(譜例12) FEは、右手最後の2つの音を16分音符で書いている。m.133は、FE、GEとも16分音符である。GEのB2は、B2が32分音符、次に32分休符、そしてA2を16分音符で書いている。この版はミクリ版に従ったものである。新しい版では、別のリズムになっているものがある。その別のリズムとはm.133のリズムである。この他に、Klindworthはこのパッセージ(m.133,137,141)を32分音符、16分休符、16分音符のリズムで書いており、は16分音符、16分休符、32分音符で書いている。
校訂報告を含め表にしたものが下の譜例です。
Klindworthとは、ドイツの作曲家、ヴァイオリン奏者、音楽教師。ヴァイマールでリストの指導を受けたそうです。モスクワ音楽院ピアノ科教授に就任し、ロシア滞在中にショパンの学術校訂版を完成させているそうです。学術校訂版というのはおそらく批判校訂版のことだと思います。つまり原典版。楽譜の校訂者として著名な人物だったようです。
Burgnoliとは、イタリアの作曲家、ピアニスト、音楽学者。アントン・ルビンステイン・コンクールでバルトークを破り作曲賞を受賞。フィレンツェの音楽院の教授になり、ピアノ教育、ピアノ技術に関する著作があるそうです。リコルディから彼が校訂したショパンの楽譜が現在も出版されています。
表だけではどの部分かピンとこないと思いますので楽譜を一部載せます。
m.132-133
校訂報告では、最後の2音について書かれています。
この楽譜はエキエルです。2音とも16分音符で書かれているものが最も多いです。 自筆譜も2つの16分音符。
m.137
最後の2音は16分音符。 自筆譜も同様。
m.140-141
ここで初めて変化する最後の2音。 エキエルは32分音符が先 です。自筆譜も同様。
自筆譜がどうであろうと、 ここはパデレフスキー版で耳にしている人が圧倒的に多い、この魅惑の16分休符を無くすわけにはいかない! という人が多いのではないかと・・
ホロヴィッツの演奏です。3連符の後に注目。
アルゲリッチ
アヴデーエワ、チョ・ソンジン、小林愛実さん、牛田くんを聴いてみましたが、お若い方も魅惑の休符入りでした。
聴いた中では、反田さんだけエキエルの通り。つまり自筆譜通りでした。
弟子のミクリが最後が32分音符ならそれでヨシ! と個人的には思います。
私はこの曲のここが一番好きです。ホロヴィッツ最高
今回はここまでです。 ✐౽