先日 会社の文化研修でいただいたという絵本を 娘からもらいました。
すごく素敵な絵本だと言うこと。
まずは表紙の空の色に目を惹かれました。
朝日の差し込む青の色が明るいのに深みがあって、なんともいえない色です。
本の中は 一言も言葉が書かれていない、前ページ イラストだけ。
でも、その絵がどんな言葉よりも雄弁に語っているんです。
物語の主人公は 一人の少年。
少年は、学校の社会科見学で 小型の飛行場を訪れます。
その夜、少年は夢の中で「飛行機の父」と呼ばれる「サントス・ドゥモン」に会います。
少年はドゥモンの飛行船でパリへ。
パリはドゥモンが 家庭の事情でブラジルを去った後に 暮らした土地。
その後二人はドゥモンが完成させたエンテ型の動力機「14-bis」号で夜の空を遊びます。
そして夜明け。
ドゥモンは14-bisで帰っていきました。
夢から覚めた少年は、「自分でも何かを作ってみよう!」と思いつきます。
倉庫からいろいろ引っ張り出し、あっちをひっつけ こっちをひっつけ…
できた!
少年の夢の飛行機が空に飛び立つ日はいつでしょう。
絵本の作者André Ceolin氏は 今ブラジルで一番話題のイラストレーター。
様々な絵本を出版していますが、細かい筆致で丁寧に描かれたイラストは、どんな言葉を連ねた絵本より 美しい言葉を紡ぎだしているように思えます。
実際のサントス・ドゥモンは 第一次世界大戦の時に戦争に飛行機が使われたことに失望し、フランスからブラジルに戻ったのち 自殺してしまいます。
しかし、最後に少年が自分で作った飛行機に乗って(実際には空を飛べないものだとしても)、広い空を仰いでいる姿は ドゥモンの志が少年に受け継がれている、そんな姿なのだと思います。
一言も言葉が書かれていないにもかかわらず、それだからこそ 読む人の心の言葉を引き出す絵本なのではないかと思います。