ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME9 VI : The Steward and the King (1)

2007-04-16 23:40:36 | Tolkien・HoME
この章も前の章と同様,最初に下書きが書かれた後に,そんなに大きな変更があったわけではありませんが,細かい変更はたくさんあったそうです。

下書きの1つに,タイトルは付いてないけど,鉛筆で"Faramir and Eowyn"と書かれた物があるそうですよ。でも次の下書きにはやはり鉛筆で今度は,"The Watchers on the Walls"と,書かれているそうです。で,その次にようやく,"The Steward and the King"になったそうです。

初期の下書きでは,療病院の番人さんがこんな事を言うそうです。

<下書き>
「それはそうなるかもしれません,好むと好まざるにかかわらず。しかししばらくは,待たなくてはなりません。それは常に難しい事です。しかし,姫,やがて来るかもしれない暗黒の時の為に,時間の許す限り医者の言う通りにして,準備された方がよいと思います。」
</下書き>

このセリフ,似たような事を後にファラミアが言う事になるので,番人さんのセリフではなくなりますが,エオウィンの心をちゃんと見抜いているセリフですね。ローハンでは誰も彼女を止める事はできませんが,これはやはり,ボロミアの存命中は次男として兄を引き立て,父を引き立て,執政になれば王を引き立てる事が宿命付けられている(でも彼らの後ろに隠れているわけではない)ファラミアが言えばこそ,ですね。

フィンドゥイラスという名前は当時アラゴルンのお嫁さんになる人に付けられていました。では彼女の方は,どうだったかと言うと,Emmeril,Rothinel of Amroth,と変化して。最終的にフィンドゥイラスになったそうです。

エオウィンのあのセリフ,最初は"I love or have loved another."だったそうですが,それが"I hoped to be loved by another."に変わり,最終的に,"I wished to be loved by another."になったのだそうです。最初のやつは,エオウィンが積極的に相手を変えている印象になりますね。強ぇ,エオウィン!って感じでこれでもよかったかも(笑) 最終案は女の子らしくまとまっちゃいました。(hopeとwishの違い:hopeは単純な希望,ですが,wishだと,叶いそうもないけど。。というニュアンスが入ります。)トールキンさんの世代では,ここらが許せる女性像だったのかな。

初期の下書きの戴冠式は,
<下書き>
アラゴルンがひざまずきます。ファラミアとイムラヒルが2人で一緒に王冠を被せ,ガンダルフが肩に手を置いてアラゴルンを立たせると,皆彼をじっと見ています。そしてファラミアが「Behold the King!」と言い,彼の白い杖を折ります。
</下書き>

‥後の下書きでは,アラゴルンは杖をファラミアに返し「That office is not wholly at an end.」と言うそうです。(正式版は「That office is not ended, and it shall be thine and thy heirs' as long as my line shall last.」ですが)
そして,この頃から彼は自分の相続の為に働いてくれた人達から王冠を被せて欲しい,と,言い出し,最初は,フロドとサムが2人で被せたそうですよ。と,そんな経過を経て,ようやく,王冠リレーの末にガンダルフが1人で被せる事になったのでした。

Run!Run!Run!