デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ミレー「羊飼いの少女」(1862-64)

この作品も日本に来たことがある。
日本放送出版協会『オルセー美術館1』の解説を引用すると、「美術愛好家ポール・テッスによる注文作。羊飼いの少女という主題はミレーがすでに何度も描いていたものであり、この作品は綿密な完成度を見せている。1864年のサロンに出品されて大好評を博したが、有力な批評家ポール・マンツは「この静謐な風景、優しくばら色で、詩と光に満ち満ちた空」について語っている。シャイイの広大な平原を舞台に羊の群れを背にして編み物をしながら立つ少女は愛らしく、全体の構図も巧みにまとめられている。」とのことだ。
作品は農村に抱く理想の典型の一つとして、この作品が農民画家にしばらくのあいだ影響を与え続けたそうである。解説をなかで大好評を博したとあるが、私はこれまでのミレーの描いてきた農村の風景に批判的だった人々が、時代の変化で作品に好意的評価あたえるように考え方を変えてきたのではないか、と思っている。
こういった逆光でとらえられる風景を、派手な彩色を使うことなく抑えた色使いで表現しているところは、画家の力量を感じさせる。抑えた色調なのに細かい表現ができる、というのはミレーの画家として円熟期を示すものではとも思う。
それに作品自体も心を打つなにかがあると思う。以前にも同じようなことを書いたが、私の感覚では、旅行時に写真に撮れたら非常に幸運だ!と思うような光景だ。とはいえ、実際にそういった光景に出くわしても、羊たちがワサワサうごめいて、羊飼いも編み物どころではないだろうなぁ(笑)。

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