デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ユベール・ロベール「ポン・デュ・ガール」(1786)

世界史をやってない私でもアウグストゥス(オクタヴィアヌス)が初代ローマ皇帝であることは知っていたが、彼は自分の思うとおりにやりたい放題する絶対君主とは異なっている。本の内容を私なりに整理すると、
・アウグストゥスは武力闘争で勝ち抜いて権力を掌握したが、それなりに元老院の顔や市民集会の顔を立てたそうだ。だから自ら「皇帝」などとは名乗らないまま、事実上の帝政を敷いた。
・統治にあたっての肝心要な権限は死ぬまで持ち続け、また偽善や嘘をついても結果的に巨大化した国で発生する種々の問題を効率よく解決していき、ローマに平和をもたらした。
大体、こんな感じか。
国の構想や創造性ではカエサルに及ばないアウグストゥス。しかしアウグストゥスはカエサルの指針を実行に移し、それによって生まれた新システムが正確に運用されしっかりと継続されているか「監視」することを怠らなかった。ローマ帝国の礎を築いたアウグストゥスは、実行力のある政治家の手本といえるかもしれない。
またアウグストゥスのもとで活躍したアグリッパやマエケナスも、アウグストゥスの政治力を支えた大きな存在だった。偉大な政治家、というより大きなことを成し遂げる人間の側には、必ず影となって実務的な"お膳立て"や、難しい職務をときに機転を利かせて完遂させる人がいる。良い側近を得た政治家が歩む道を、第6巻で知ることが出来るといっても過言ではないかも。
ちなみに皇帝の右腕として働いたアグリッパは軍事だけでなく、地方を統治する上で拠点となる都市を造った。彼が造らせた公共建造物は数多く、冒頭にある18世紀のフランスの画家ユベール・ロベールが描いた「ポン・デュ・ガール(ガール橋)」も彼が建てさせたことを初めて知った。フランス南部に造られたポン・デュ・ガールはニームという町へ水を供給するための水道橋だが、これは現在も遺っている。ポン・デュ・ガールに観光で行った人のレポートを読んだことがあるが、想像以上に大きかったそうだ。技術力にも長けていたことの証なのだと思う。

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